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【全文】気球「正当防衛に該当せずとも武器使用可能」官房長官会見(2/17午前)

2023年2月17日 13:35
【全文】気球「正当防衛に該当せずとも武器使用可能」官房長官会見(2/17午前)

松野官房長官は17日午前、領空侵犯した高高度を飛行する気球などについては、有人の軍用機とは異なり、武器を使っても直接人命に被害が及ばないため、「必要と認める場合には、正当防衛、または緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許される」と述べました。

<会見トピックス>
▽閣議の概要
▽ロシアからの石炭・石油輸入削減
▽日本学術会議法改正案
▽気球などへの武器使用要件緩和

○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。国会提出案件8件、法律案、人事が決定されました。大臣発言として、法務大臣から、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく国会報告についてご発言がありました。次に、岸田総理は諸般の事情が許せば、19日に岡山県を訪問する予定です。具体的には、合計特殊出生率が全国トップクラスで、少子化対策の奇跡の町として注目を集めている岡山県奈義町を訪問します。奈義町では、住民の皆様が参加し、地域ぐるみで子育てを実践している施設を訪問するとともに、前回の福井県に引き続き、総理自身が子供政策対話を行う予定です。詳細は内閣官房にお尋ねをください。私からは以上です。

――まもなく1年に及ぶウクライナ侵攻に関連して伺います。政府はロシアからの石炭輸入を段階的に削減し最終的に禁止する他、石油を原則禁輸する方針を示しています。これまでの輸入削減の実績とそれぞれいつ最終的な禁輸とするのか今後の対応方針を伺います。

○松野官房長官
我が国としては昨年のG7首脳声明に基づき、持続可能な代替供給を確保するための時間を確保しながら、石油や石炭を含め、ロシアのエネルギーへの依存をフェーズアウトする方針であります。2022年後半のロシアからの輸入量は、原油については前年同期比で約9割減。石炭については前年同期比で約6割減となっています。引き続き、我が国のエネルギー安定供給の確保に万全を期しつつ、G7各国と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

――日本学術会議法改正案をめぐり、政府は昨日、学術会議幹事会を開催し、会員選考に関与する第三者による選考諮問委員会を新設するという検討状況を説明しました。諮問委の意見を尊重しなければならない、と明記された事に関し、学術会議の独立性が揺らぐとの懸念が出ており、梶田会長は「日本の学術の歴史の転換点となりうる大きな問題だ。しっかり議論をしないまま進むようなことはあり得ない」として再考を求めました。政府の受け止めと、法案提出の見通しを含めた今後の対応について伺います。

○松野官房長官
きのう、日本学術会議幹事会で、ご指摘の発言も含め、様々な意見をいただいたと聞いております。学術会議の見直しについては、後藤大臣のもとで検討を行っているところであり、日本学術会議に丁寧に説明し、意見もお聞きをしながら進めていくものと承知をしております。

――気球などへの武器使用要件緩和について伺います。政府は、地上の国民の生命・財産の保護のほか、航空機の安全確保の目的でも、武器使用を認める方針を決定されました。今回、問題になっているような偵察用気球が、定期航空便の飛行経路から外れて飛行しているような場合にも、地上の国民の生命・財産の保護をもって撃墜可能という風に理解してよろしいのでしょうか。政府のお考えを伺います。

○松野官房長官
政府は、従来から、自衛隊法第84条に規定する、対領空侵犯措置の際の武器の使用は、同条に規定する必要な措置として、正当防衛、または緊急避難の要件に該当する場合にのみ、許されると述べてきたところであります。これは、有人かつ軍用の航空機を念頭に置いたものであり、武器を使用した場合には、結果として撃墜という形態になる蓋然性が極めて高く、領空侵犯機のパイロットの人命等との関係を考慮する必要がある趣旨で述べたものであります。これに対し、今回のように、領空侵犯し、高高度を飛行する気球等については、武器の使用を行っても、直接に人に被害が及ぶことはないことから、我が国領域内の人の生命および財産、または航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために、必要と認める場合には、正当防衛、または緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許されると考えています。
その上で、いかなる場合に、武器の使用が可能かは、個別具体的な状況によることから、一概にお答えすることは困難ですが、ご質問のような、気球の高度や経路のみをもって判断するものではなく、我が国領域内の人の生命および財産又は、航空路を飛行する航空機の安全の確保といった、保護すべき法益を総合的に勘案して、判断することになると考えています。詳細につきましては、防衛省にお尋ねをいただきたいと思います。

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