一昨年、中京テレビ「キャッチ！」で取材した2男5女の7人兄弟、BMX大家族。お父さん手作りの巨大パークで練習する様子を放送しましたが、当時、小学生だった長女の美晴選手が、この2年でとてつもない進化を遂げていました！

廃校体育館の手作り練習場が新拠点　身体を張った超大技に挑戦！

一昨年に取材したときの様子

岐阜県本巣市出身の中学3年生、BMXフリースタイル・パークの小澤美晴選手。出場した国内外全ての大会で軒並み優勝し、15歳以下の部では敵無し。さらに先月、フランスの国際大会でシニア戦（エリートクラス）デビューを果たし、いきなり優勝！　その名を世界に知らしめました。

美晴選手の現在の様子を取材しようとついて行くと、到着したのは小学校。なんと、体育館の中に立派なBMXパークができていました。実はここも、お父さん手作りの練習場。昨年5月、廃校になった小学校の体育館を市から借りて、雨風がしのげる屋内練習場に変身させたのです。美晴選手はこの練習場で毎日のように兄・楓選手と練習しています。

ジュニア世界チャンピオンで日本年間王者にもなった楓選手。美晴選手は、そんな兄の技をじっと観察していました。この時、楓選手が見せていたのは、“フレア”という技。縦に1回転して進行方向を変えるという難しい技です。

それから1か月後。外のパークでの練習を覗いてみると、美晴選手が挑戦していたのは、あの"フレア"でした。

失敗しても、動画を分析してまた挑戦。この日は風や寒さもあって心が折れそうになりながらも、ついに7回目の挑戦で成功しました！　それでも美晴選手は動画をチェックすると「一からやり直さんといかん」とつぶやき、練習を続けます。

才能の原点は兄・楓選手の存在　怖い物知らずの中学3年生が見据える目標

女子がやらない大技でも果敢に挑戦する美晴選手

そんな美晴選手の最大の武器は、女子では成功例がほとんどない技を、何個もレパートリーに持っていること。美晴選手にしかできないような大技が5個あるといいます。これこそが大きな強み。

例えば、自転車から体を離して車体を1回転し、その後、自分も360度回りながらハンドルを1回転させるという「360テールウィップ to バースピン」。楓選手が日本人最年少13歳で成功させて話題になった大技を、なんと美晴選手も練習で何度も成功させているのです。

この才能の原点となっているのは、兄・楓選手の存在。一番近くに最高の見本がいることも大きな強みの一つとなっているようです。

父・建司さん：
「楓（兄）がいるからこそじゃないですかね、あいつは。いつも1人じゃないし、何か技やってほしいって（頼めば）見せてはくれるし、ヒントもくれるし。兄がいなかったら多分（今の美晴は）いないと思います」

美晴選手が挑戦している大技は、フレアだけではありません。まだ練習3日目という新技は「720テールウィップ」。サドルから体を浮かせて車体を1回転、さらに体もくるくると2回スピン（720度）するという超大技です。

女子でも男子と変わらない技ができるということを証明するかのように、身体を張った超過酷な挑戦を続ける美晴選手。それでも「怖さやプレッシャーはない」と話します。そんな怖いもの知らずの中学3年生が見ている目標は、はっきりしています。

小澤美晴選手：
「パリオリンピックです。オリンピックで金メダルとりたいです」

栄・オアシス21で27日から開催の「マイナビJapanCup 名古屋大会」に美晴選手と兄の楓選手が出場予定。世界最高難度の技が見られるかもしれません。