“こち亀”作者・秋本治「すみません、ゴルゴと並んでしまいました」 さいとう・たかをさんとの思い出明かす
■“こち亀”秋本治 気まずい思いもした“ゴルゴとの巻数勝負”
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者・秋本さんは、弔辞で「ギャグ漫画でデビューしてしまったので、さいとう先生とは接点がないと諦めていたんですけど、のちにコミックの巻数で先生とご一緒することになりました。当時は、『サザエさん』や『三国志』など巻数の多い作品があって、もちろんゴルゴが1番上だった」と、憧れのさいとうさんと自身の作品の巻数が近づき、うれしかったと語りました。
しかし、その後は気まずい思いをしたそうで「だんだん周り(の作品)が終わってきて、そのうち(さいとう先生と)2人だけになってしまって。ゴルゴに続くのは、こち亀と言われて。しまいには、“床屋でどっちが読まれてるか対決”になりまして(笑)」と、笑いを交えながら語り「ゴルゴと同じ巻数になってしまって、パーティーで先生にお会いした時“すみません、ゴルゴと並んでしまいました”って言うと“巻数が多いのは仕事してる証拠だからいいことじゃよ”って先生は笑って言われました」と掛けられた言葉を振り返りました。
秋本さんの代表作“こち亀”は、2016年に『最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ』としてギネス世界記録に認定。2021年には、『ゴルゴ13』が201巻を発売し、秋本さんの記録を更新しました。
■ゴルゴの名言は「さいとう先生そのもの」
報道陣から“さいとうさんがどんな存在だったか?”聞かれた秋本さんは、「さいとう先生がゴルゴに言わせている“私はプロだ”っていう言葉が、さいとう先生そのもので。“プロ”っていうのは、締め切りに遅れないとかそういうことじゃなくて、エンターテインメントで楽しませること。よく先生がおっしゃってたんですけど、“10人いたら1人2人が最高におもしろいって言うよりも、8人を楽しませるものを書きたい”と。お金出して読むんだから、そういう作品を書かなきゃダメだっていう。“締め切りに遅れるとか遅れないは、もうプロ以前だ”ってよく言われて(笑)。本当にエンターテインメントに対して、プロの作家だなと思います」と、プロ意識の高さを学んだと懐かしみました。