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カナダ人落語家・桂三輝、神宿る伊勢に移住

2011年11月14日 23:12
カナダ人落語家・桂三輝、神宿る伊勢に移住

 「三重県2代目住みます芸人」に任命されたカナダ人落語家の桂三輝(かつらさんしゃいん=41)が14日、落語のネタ「東の旅」にちなんで、なんばグランド花月前から新拠点の三重県伊勢市へ徒歩で出発した。

 「1999年、日本の文化にあこがれて日本に来まして、途中で落語に出会い、一目ぼれして、桂三枝の弟子にならせていただきました。3年の落語の修業は2週間前に終わりまして、師匠から年季明けのお許しをいただきまして、何か落語家としての『千里の道も一歩から』と思いまして、その一歩目は何か違うこと、非常に深いことを学べる方向に向かいたいなと思いましたとき、『住みます芸人』で兄弟子が活動していることを知り、やらせていただきたいと思い、希望を出しました」と動機を明かし、師匠三枝の偉業をトレースすることを思い立った。

 「宮川大助師匠のアドバイスで、ただ伊勢に行くんじゃなくて、歩いていくということにしました。三枝師匠も45年前にまったく同じ理由で歩きましょうと決めたみたいで、その時の写真を見せていただき、師匠と同じ姿、同じルートで私も勉強させていただきたいと思いまして、本日が出発の日となりました」と決意を語った。

 三枝からもメッセージが届いた。司会進行を務めていた浅越ゴエ(37)が代読した。
 「カナダ人の弟子、桂三輝がこのたび、吉本から三重県の“住みます芸人”に採用していただきました。サービス精神に富んだ三輝なら、きっとこの大役をこなしてくれると思います。聞けば、伊勢に住むということですが、伊勢神宮は神社本庁の本宗(ほんそう)とされているところです。神宿る伊勢に、カナダ出身の落語家が住むのに多少違和感はありますが、日本の文化を知るにはいい機会だと思い、送り出すことを決めました。そして、伊勢まで歩いて行くそうですが、私も45年前に、上方落語の代表的な古典『東の旅』を実践しようと、伊勢街道を伊勢までたどって歩いたことがありました。弟子が再び、チャレンジしてくれることを心からうれしく思っております」とはなむけの言葉を送った。

 年季が明け、落語家として一本立ちする今後について、「私の夢は毎日、どこかで落語をできたら幸せになります。古典はもちろん勉強したいです。そして師匠の創作落語。また、海外でも落語を英語で、特に師匠の創作落語をカナダはもとより、アメリカ、ヨーロッパに広めたいと思います」とワールドワイドな展開をプレゼンテーション。「伊勢市河崎という場所に移るんですが、そこは日本の昔ながらの家がたくさんあります。まず、日本の文化を守ろうとしている場所で私も日本の文化を勉強しながら落語をやりたいと思います。そこをベースにして、一歩一歩学びながら、落語をやりたいと思います。落語を皆さまの前でやらせていただきたいと思います」と新天地での日々に期待した。

 なんばグランド花月前広場では、宮川大助より“住みます芸人”の証であるTシャツの贈呈式が行われた。三輝は「三重県伊勢市に、お先に勉強させていただきます!」と大きな声をあいさつし、お伊勢参りへと旅立った。道中で落語会を開きながら9日後の11月23日(水)にゴールする予定。道中は伽半(きゃはん)にわらじという昔の旅人スタイルで通す。