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ミュージカル『アニー』 子役を「子ども扱いしない」「一人の俳優として見る」 演出・山田和也さんに聞く

2025年4月26日 11:01
ミュージカル『アニー』 子役を「子ども扱いしない」「一人の俳優として見る」 演出・山田和也さんに聞く

ミュージカル「アニー」が新国立劇場中劇場で19日から始まった。5月7日まで。ミュージカル「アニー」は1976年のトライアウトを経て、1977年に米・ブロードウェイのアルヴィン劇場(現在はニール・サイモン劇場)にて上演され、日本では1978年に初めて上演された。1986年からは日本テレビの主催公演として再演を重ね、今年で40年目を迎える。1933年、世界大恐慌直後のニューヨークを舞台に、逆境でも前向きに生きる11歳の女の子アニーの姿を描く。長く愛される作品の魅力は何なのか。2017年から日本版の演出を務める演出家の山田和也さんに聞いた。(・後編の後編)<取材・文=日本テレビアナウンサー佐藤真知子>

■お芝居は“管理されてやるもの”ではない

――『アニー』といえば、子役たちの存在は不可欠です。山田さんが子役を指導する上で、大事にしていることや意識していることは何ですか?

まず大切にしているのは、「子ども扱いをしない」ということです。

僕自身は“指導者”にならないように気をつけています。あえて“先生”にならないようにしている、という方が近いかもしれません。「先生と生徒」という関係性になってしまうと、どうしても子どもたちは“先生の言うこと”を気にしたり、言われた通りにやろうとしたりします。

もちろん、それは運営の面では効率がよく、管理しやすいかもしれません。でも、演劇ってそういうものではないと思うんです。お芝居は“管理されてやるもの”ではない。

だからこそ、子どもたち一人ひとりを“俳優”として見ています。俳優の演技は、その人の内側から出てきたものこそが一番良いと思っているんです。誰かに言われてやるのではなく、自分で感じたことを表現するほうが、演じる本人にとっても信じやすく、やりやすいはずです。結果として、それが観客にも説得力を持って伝わる。そうなれば「なんだか去年と同じだね」とはならないはずです。