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経済
2012年1月2日 14:56

消費税議論と財政の展望

 政府・与党は、「社会保障と税の一体改革」をめぐり、消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることを固めた。消費税率を引き上げる理由として、社会保障費を賄うことを最大の理由にしている。

 社会保障費をめぐっては、11年末に決まった12年度予算案の編成作業で象徴的なことがあった。それは、基礎年金の国の負担分の賄い方。自民党政権下で基礎年金(国民年金)の国が負担する割合を3分の1から2分の1に引き上げることが決まったものの、それ以降11年度予算まで、国は負担が増えた部分について「埋蔵金」など安定的ではない財源を探して賄ってきた。しかし、12年度は2兆6000億円に上る額の手当てができなくなってしまった。苦肉の策として政府は、今後増税する消費税をあてにした特殊な国債「交付国債」を発行して賄うことにした。

 世論の中には「消費税率を引き上げる前に、無駄な予算や国会議員の数を削減するべき」という意見がある。一方で、12年度予算案を見てみると、一般会計の国の予算約90兆円のうち、歳入では約44兆円を国債の発行で賄っており、これは税収の約42兆円を上回っている。一方、歳出を見ると、社会保障費が約26兆円で、公共事業や文教・科学振興費、防衛費などの行政サービス費は約24兆円。つまり、無駄のカットなどではとうてい賄えない規模の借金をして予算を組んでいるのも事実なのだ。

 政府は、国と地方の財政健全化を目指すシナリオを作っている。それは、政策に使う経費を借金に頼らず税収などでどれだけ賄っているかを示す「基礎的財政収支」の赤字を、15年度に半減させるというもの。内閣府は、15年度に消費税率を10%に引き上げればこれが達成できると見ている。つまり、財政を立て直す一里塚と位置づけている。ただ、今回、政府税制調査会が了承した案では10%への引き上げは年度の後半である15年10月となり、この健全化のシナリオの達成が難しくなるとの見方が、政府・民主党内には出ている。

 ヨーロッパの信用不安で見られるように、一度国の信用に傷がつくと、国債の金利が上がり、経済に大きな影響が出る可能性がある。11年末に野田首相は「あまりヨーロッパの危機のことをことさら誇大に申し上げるつもりはない。だけれども、想定外のことが起こって、今年、日本は本当に多くの困難に見舞われた。想定外ではない大きな危機が来るかもしれない」と述べた。政府・民主党は、消費税率を引き上げる際には、経済情勢が極端に悪化していないこと、衆議院議員の定数を削減することや行財政改革を行うとしている。

 国民が広く負担を強いられる消費税、皆が受ける社会保障のサービス、そして国際社会が日本を見る目。これらのバランスをどう取っていくのか。今年、日本は重要な節目の年を迎える。