日本初「給与のデジタル払い」スタート 「使いたいと答えた人が2割」という調査も… 課題は?
25日は給料日の人も多かったと思いますが、給与を銀行振り込みなどではなく、キャッシュレス決済サービスで受け取れる「給与のデジタル払い」が、日本で初めて行われました。
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25日、キャッシュレス決済サービスを展開する「PayPay」は「給与デジタル日」。日本で初めて、給与がデジタルマネーで支払われたのです。
ソフトバンクグループ各社の希望する社員が対象で、給与のうち20万円を上限として、PayPayのアカウントに振り込まれました。
PayPayで受け取る金額は、「3万円」「2万円」「20万円」「10万円」など、希望によって人それぞれ。残りの給与はこれまで通り、銀行口座へ。社員は早速、PayPayで受け取ったデジタル給与で買い物を試していました。
PayPay社員
「無事に使えてよかったです」
PayPay 柳瀬将良さん
「今まだソフトバンクグループだけですけど、もっともっと広げていかないといけないので、まずはスタートラインに立てたかなと」
PayPayは、年内に他の企業にも「デジタル給与払い」を提供していく予定です。また、au PAYや楽天ペイも厚生労働省に申請中です。
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実際に「デジタル給与」は広がるのでしょうか? 訪ねたのは、単発バイト、いわゆるスポットワークを紹介する会社です。
山本里咲フィールドキャスター
「実際に利用者から『デジタル給与』があったらいいなという声はある?」
「デジタル給与」前向きに検討 タイミー担当者
「都度入ってくるお金ですので、『デジタル給与』というものに対して親和性が一定あるのではないか」
一度に入る金額が比較的少なく、振り込まれてすぐ使えることから、スポットワークで働く人にとってはメリットが多いのでは、といいます。
「なるべく早くデジタル給与も導入したい」と話す引っ越し会社も。
サカイ引越センター 総務部の担当者
「引っ越しシーズンには多くの学生さんに、アルバイトとして仕事の手伝いをしてもらっている。特に若い人ではじめてアルバイトをする人は、銀行に給料が振り込まれること自体、慣れてない人が多くいると思うので、普段使うPayPayで受け取りたい人が多いのではないか」
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では、“給料をもらう側”は…? 東京・有楽町で聞きました。
フリーター(24)
「(デジタル給与を)使わないかも。支払いにも現金でないといけないものもあるので」
メーカー勤務(27)
「チャージする手間がなくなるのはいいかな」
──どちらを選びますか?
メーカー勤務(27)
「今のまま(銀行口座)で」
鉄道客室乗務員(31)
「通信がうまくいかないとか、エラーが出たときに面倒くさそうだなと」
「デジタル給与払い」を使いたいか聞いたところ、「使いたい」と答えた人が2割程度にとどまったという調査もあります。※NTTデータ経営研究所、NTTコム リサーチ(去年9月)
「デジタル給与」に詳しい第一生命経済研究所 柏村 祐主席研究員
「銀行は安全だというほうが、国民の多くがまだまだ感じている。利用者からするとハッキングのリスクや(通信)障害で止まってしまうところが、非常に不安だと感じる」
「デジタル給与」の上限は制度上は100万円ですが、今回、「PayPay」は不測の事態に備えて20万円に設定。仮に決済事業者が破綻した場合でも保証機関により全額が補償されるしくみです。
専門家(柏村祐氏)は、こうした補償制度やポイントが付く特典などが周知されれば、徐々に普及していくのではないかと話しています。
(9月25日放送『news zero』より)