2014年 TPP交渉の行方
2013年は「年内妥結」の目標が達成できず、越年したTPP(=環太平洋経済連携協定)交渉。早期妥結は可能なのか、2014年の交渉の行方を探る。
2013年12月にシンガポールで開かれたTPPの閣僚会合は、目標としていた年内妥結を断念する形で終了、1月中に再び閣僚会合を開くことを確認して閉幕した。
会合終了後に出された参加12か国の共同声明は、残された多くの課題について「着地点」を見つけたとして、進展があったことを強調した。しかし、注目された「コメ」などの重要5項目をめぐる日米交渉では、アメリカが「関税」撤廃の主張を繰り返し、日本側は国会決議などを踏まえて譲れないとの姿勢を崩さず、最後まで溝が埋まらなかった。また、「知的財産」「国営企業の優遇規制」「環境」など複数の分野の議論では、アメリカと新興国の間の隔たりが大きく、多国間交渉の難しさを示す結果となった。
舌がんが見つかって会合参加を見送った甘利経済再生相に代わり、急きょ閣僚会合に参加した西村副大臣は、終了後の記者会見で「作業量は相当あるという印象」と語り、「知的財産」や「競争」「環境」など妥結に向けて課題が残る分野の進ちょくレベルを「3分の2程度」としている。
また、帰国後に行われた自民党の関連部会の席で西村副大臣は、年内妥結が見送られたことで、次の交渉の山場は、アメリカの中間選挙が11月に控えていることなどを考えると、2014年春頃が焦点になるとの見方を示し、「春くらいまでのタイミングで方向性を出さないと、あとはズルズル行ってしまう」として、交渉の長期化に懸念を示した。
現在、事務レベルで次回の閣僚会合の時期を調整しているが、2013年12月は複数の国がクリスマス休暇で作業が進まなかったことなどから1月中の開催は難しく、2月にずれ込む見通し。日本の交渉関係者は、TPP交渉の早期妥結の鍵は、やはり日米間の関税交渉にあるとみている。日米が合意できれば、他の分野も一気に交渉が加速すると期待しているが、懸念はオバマ政権の政治基盤の弱さだ。アメリカが早期妥結を優先し、日本をはじめ各国に妥協する形で交渉をまとめたとしても、アメリカ議会の承認が得られない事態も予想される。
TPP交渉は、多国間での通商交渉の難しさと、各国が抱える国内事情が複雑に絡み、妥結に向けた道筋は不透明さを増している。