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大手自動車メーカー7社 今年度業績見通しにトランプ関税の影響色濃く

2025年5月17日 7:00
大手自動車メーカー7社 今年度業績見通しにトランプ関税の影響色濃く
日産自動車の決算会見

■大手自動車メーカー7社の24年度決算出そろう 大半が最終利益が前年度比減の厳しい結果に

14日に大手自動車メーカー7社の24年度の決算が出そろった。23年度はトヨタ自動車が国内企業で初となる営業利益5兆円超えとなるなど、円安が追い風で自動車メーカーが軒並み好調であった。しかし24年度は、スズキを除いた6社で最終利益が前年度比で減少し、厳しい結果となった。

経営が悪化している日産自動車に至っては、連結最終損益が6708億円の大幅な赤字となった。こうした業績悪化の状況を踏まえ、日産は国内外あわせて2万人の人員削減や、世界に17ある車両工場を一部閉鎖して10工場にするなど発表。さらなる抜本的な改革が求められている。

■“トランプ関税”の色濃い影響 25年度業績予想できないメーカーも

こうした状況に追い打ちをかけるのが、先月発動したトランプ政権による自動車への追加関税である。7社全てが25年度の決算は“トランプ関税”によるマイナス影響を予想している。

まずは、業界の雄であるトヨタ自動車。25年度の最終利益について、24年度よりも1兆5000億円以上減少し3兆1000億円としている。トヨタの佐藤社長は「関税の詳細について先を見通すのは難しい」としながらも、4月と5月の2か月分の関税影響として1800億円のマイナスを見込んだ。

続いて、日産との経営統合に向けた協議が2月に白紙となったホンダ。25年度の最終利益は、前年度比およそ70%減少を見込んでいる。一方の日産は、赤字からの回復に向けた取り組みの効果や関税政策の影響を見通せず、今年度の業績見通しを未定とした。しかし、対策を講じなければ最大で4500億円のマイナスとなるという。

25年度の業績予想を未定としているのは、日産だけではない。他のメーカーと比較してアメリカへの自動車の輸出割合が多いマツダとスバルも同様に見通しが立てられない状況である。マツダは4月は90億から100億の影響が出ているとし、スバルは「年度を通じて影響を受けた場合でも、様々な対策を講じ、営業利益1000億円レベルを狙いたい」と、24年度の営業利益を大きく下回る目標額を設定した。また、三菱自動車は関税の影響で400億円のマイナス、スズキも関税影響などの外部要因で400億円のマイナスを見込んでいる。

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■日米関税協議の行方は…自動車への追加関税見直しがテーブルに乗らないワケ
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