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経済
2018年1月3日 3:08

欧州や太平洋地域との自由貿易拡大、米は?

欧州や太平洋地域との自由貿易拡大、米は?
(c)NNN

2017年は日本の通商政策にとって大きな節目になる年になった。それは、大型の自由経済協定が相次いで進展したことだ。

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一つは、12月に最終合意した日本とEU(=ヨーロッパ連合)のEPA(=経済連携協定)だ。ヨーロッパ特産のチーズやワインなど農産品については約82%の関税が撤廃され、日本国内では価格が下がることが期待されている。

逆に日本から輸出される自動車や自動車部品など工業製品の関税は今後100%が撤廃されるなど、日本の製造業にとってもメリットは大きい。

この他、私たちの身近なところでは、食品の名前の使い方に変化が起きる。GI(=地理的表示保護制度)というお互いのブランドを保護する仕組みができたためで、例えば「ゴルゴンゾーラチーズ」という名称については今後、イタリアの特定の産地や製法で作ったもの以外は名乗れなくなる。

2018年はまず、協定を日本やEU各国の言語に翻訳する作業が行われる。日本の政府関係者によると、その上で、7月にも署名が行われ、早ければ2019年にも発効する見通しで、ワインは即時関税が撤廃される。

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もう一つは2017年11月に大筋合意したTPP(=環太平洋経済連携協定)だ。アメリカのトランプ政権が離脱を表明したことでTPPは崩壊の危機に直面したが、残りの11か国で最大の経済規模の日本が主導する形で、大筋合意にこぎ着けた。日本政府関係者は、大型経済協定を日本がまとめたのは初めてだと成果を強調する。

ただ、大筋合意に向けては波乱もあった。大筋合意した閣僚会合の後、首脳会合が予定されていたが、カナダのトルドー首相が突然、異論を唱えて中止となった。最終的に改めて閣僚間で合意が確認されたが、11か国の連携にしこりを残す形となった。

11か国は2018年2月にも署名式を行う予定だが、カナダが参加するかは見通せていない。日本政府内には「カナダが離脱しようと構わない」との強硬論もあるが、カナダが離脱すればメキシコなど他の国が追随する恐れもあるため、日本としてはぎりぎりまで説得する作戦だ。

TPPは11か国のうち6か国で国内手続きが終われば発効する。日本は2019年にも発効すべく各国との連携を進める方針だ。

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ヨーロッパや太平洋地域の経済連携の動きが進む中、日本が最も気にするのはアメリカとの通商の行方だ。TPP11か国も、市場として大きな魅力があるアメリカの復帰を望んでいる。しかし、その見通しは立っておらず、逆にアメリカから2国間で厳しい条件の通商関係をのまされる可能性が出てきている。

日本は、反TPPとして強硬な姿勢を貫くトランプ大統領と直接首脳レベルで通商交渉を行うことを避けるために、「日米経済対話」という副総理クラスの交渉窓口をつくった。現時点ではアメリカ側から厳しい条件は突きつけられていないが、政府内には警戒感が漂う。

ただ、日本政府の中も、対アメリカの姿勢では一枚岩ではない様子が垣間見える。

日本としては原則、米国側からFTA(=自由貿易協定)の交渉を求められても応じない姿勢だ。まずはアメリカの貿易赤字を減らすため、不当に安い鉄鋼の流通など不公正な貿易を是正するなどの協力関係の強化を進め、アメリカのTPP復帰をうかがう方針だ。

一方で、経済産業省内にはFTA交渉を容認する見方もある。さまざまな物品の関税撤廃や取引などの交渉を同時に行うFTAであれば、日本最大の製造業である自動車産業を狙い撃ちされるのを避けつつ交渉ができるとみているためだ。

もしFTAではなく個別に交渉を行うことになれば、自動車産業は真っ先に厳しい条件をのまされ「大打撃を受ける」(経産省幹部)と警戒している。

2018年の具体的な動きだが、日本政府としては日米経済対話の開催を積極的に呼びかけることはしない考えだ。

5月にカナダでG7サミットが行われる際にトランプ大統領と安倍首相の首脳会談が行われる可能性があるため、その前には経済対話を設定することを検討している。それまでのトランプ大統領の発言などを見極めた上で、日本としての対応を検討していく方針だ。