日テレNEWS
経済
2018年2月23日 12:06

100人中1人に刺さるビール売る社長 3

100人中1人に刺さるビール売る社長 3
(c)NNN

ヤッホーブルーイング・井手直行社長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「雑談推奨!社長のあだ名は『てんちょ』」。ヤッホーブルーイングの独特な人材育成について聞いた。


■ニックネームで呼ぶメリット

――ヤッホーブルーイングは去年と今年2年連続で働きがいのある会社のベストカンパニーに選出されています。普通の会社では雑談やあだ名なんて、ご法度なイメージがあるのですが、それでも推奨する理由は何でしょうか。

ニックネームで呼ぶのは距離感を近くして話しやすくする。上下関係があるとどうしてもおうかがいを立てたりね。一応私は、社長なんで、社長の言うことは聞かないといけないなんて思うかもしれないですが、ニックネームで呼び合うと、距離感が近いし、話しやすくなります。そうすると自分が思っていることや、大事な議論を社長や先輩に対しても、みんなニックネームなので言いやすくなります。みんなで議論して、一番良い意見を選んで納得して遂行していく。ニックネームで呼び合い、距離感を近くして、話しやすくするという仕組みはとても有効だと思っています。


■難しい議論をするための雑談

雑談も同じです。本当は会社は、戦略とか今月の売り上げという利益に直結するような話をしたいのですが、あまりお互いのことが分かってない人から、いきなり「君の戦略はだめだよ」と言われるとカチンとくるじゃないですか。

この人は何を意図して、そういう計画を立てたのか、戦略を立てたのかというのは分からないと思うんですよね。しかし、日頃からこういう雑談を毎朝30分、みんなでしていますがそうすると、その人の日頃のことや、その人の人となりが分かったりします。

日頃から雑談することで、コミュニケーションをしやすくなると、いざ大事な議論をするときに、バっと切り込まれても「ああ、こいつはいつもそういうこと言う奴だからな」と、一応受け入れてみるかとか、そういう難しい議論をしやすくなるんです。

そういうこともあって、このニックネームの僕は「てんちょ」と呼ばれているのですが、雑談というのは、すごく難しい議論をしようと思えば思うほど大事だと思ってやっています。

――社長も「てんちょ」と呼ばれて、さらに席もないそうですね。

席はないです。空いた席に座っています。半分以上は、出張とかに行っているので、そもそも会社にあまりいないんです。いるときも、社長室みたいなところ用意しておいても、もったいないじゃないですか。社員も声をかけにくいのでみんな全員、普通の席がある中で、フリーアドレス制なんで、空いた席に申し訳なさそうに座ってやる感じです。

――とはいいましても、もし明日、目の前に社長がいて「ああ、やってやって」「最近どう?」みたいなですと嫌じゃないですか。最初はきっと距離があったと思うのですが、それをどのようにして距離、垣根を取り外していったんですか。

最初はやはり時間はかかりますよ。もともと社長室とかはなかったんですけどね。あとニックネームとかなくて、井手さんとか呼ばれたり、社長と呼ばれたりしていました。そこでもう、そういう考えが自分で固まったらよく話しかけたり、僕の方から話しかけたりしました。

「ニックネームで呼ぶようにしようよ」とみんなに働きかけて、だんだんニックネームで呼ぶような人が増えてきました。朝もちょっと雑談をして「みんなでお互いのことを分かり合っていかない?」なんて言いました。僕が最初1人で雑談していたのですが、だんだん共感して2人、3人と増えていき、もうそんな感じでやっていたら3年ぐらいでみんなそんなふうになりました。

――プロフィールですが、何で井手さんのあだ名が「てんちょ」なんですか?

インターネットの楽天市場に出店していて、私がその楽天市場の店長をやっているんですよ。店長だと偉そうなんで、ちょっとかわいらしく「てんちょ」というふうにしたんです。

――でもそう思うと、社員の顔と名前とニックネームを一致させるボードがあるということですが、趣味も書かれているんですよね。働きぶりでその人を見るというよりは、本当のその人柄を見てくれる感じがしますよね。

人柄もそうだし、このプライベートなことを書くのは、こういうのがきっかけで、だんだん会社が大きくなって、新しい人が入ってきたときも、そういうのを見て話しやすくする会話のきっかけにしたいので、そんな狙いで作りました。


■名刺のおかげで和やかムードに

――部署名も変わっているそうですね。「よなよなエール広め隊」「ヤッホー盛り上げ隊」「ハッピーお届け隊」とありますが、これを普通の会社の部署名にすると、広報、人事総務、そして、物流担当となっているんですよね。これを、名刺にも「ヤッホー盛り上げ隊」何とかって書かれているんですか。

そうです。「ヤッホー盛り上げ隊」の何々です。しかもニックネームが書いてあって、僕の名刺も先ほどお渡ししましたけど「てんちょ」と。「てんちょ」という字を大きく書いて、下に小さく井手直行という名前が書いてあります。他の部署も部署名がバーっと「よなよなエール広め隊 まりりん」とかって書いてあるんです。

――「てんちょ」の方が大きくて、本名が下に小さく入っていますけど。

取引先とか、こういう場でも僕のことを「てんちょ」と呼んでくださいね、仲良くなりましょう、そういう狙いでやっています。会社のカラーがこういうので出るんです。ものすごく首尾徹底していまして、普通の人事総務部門とか、そんな堅苦しいことをやると堅苦しくなっちゃうんですよ。だけど「人事総務で盛り上げよう会社を」といって、その「盛り上げ隊」。そういう趣旨でね。

――遊び心が満載ですが、効果はあるのですか。

効果はありますよ。名刺交換したときに、みなさん「何ですか、これは?」とか言って、一気に和やかなムードになってきたり。名刺交換をして、いろいろ聞いてくるんですよね。今みたいになんで「てんちょ」というんですかとか。「よなよなエール広め隊?これ何ですか?」とか。そこで会話が生まれて、そこで一気に我々の“よなよなエールワールド”に引きずり込んで一緒に仲良くなって、よなよなエールを広めましょうというね。

――名刺交換した状態で、もう引きずり込まれているわけですね。そんな井手さんにとっての社長とはどういったものでしょうか。

社長は、みんなが働きやすい環境を整えるのがとても大事なのかな。環境を整える。もう1つは、みんなが歩んでいく道を示してあげる。将来、こういうことを目指していこう、僕らはこういう道に進むんだという、この2つは社長としてとても大事にしています。