“義理チョコ”は本当に必要?禁止の企業も
来週14日はバレンタインデー。毎年、世の女性を悩ませるのが、上司や同僚の男性に贈る“義理チョコ”だ。職場のコミュニケーションにもつながるが、不満に思う女性も増えているという。実際、会社の方針として“義理チョコ”を禁止した会社も。
◆職場の“義理チョコ”に不満…パワハラも!?
東京・中央区の百貨店『松屋銀座』。甘い香りに包まれているのは、世界一のショコラティエが手がけた高級チョコやかわいらしいチョコが並ぶバレンタインの特設売り場だ。女性を魅了するバレンタインチョコ。その一方で、女性たちからは否定的な意見も。
営業職20代「あげたくない人にもあげなきゃいけなかったので」
営業職26歳「社会人になってからは、上の人には高いのあげなきゃいけないから、面倒くさいなと思います」
インターネットではいま、職場で配る義理チョコに対して不満に思う声があがっている。
──会社内で配るとか無意味
──買ったから集金がつらい
──欲しがるのはパワハラ
“日頃の感謝を込めて”という意味で職場の女性から男性に渡される義理チョコを、なぜ不満に思っているのだろうか。街で女性たちに聞いてみると──
営業職26歳「もういらないと思います」
受付22歳「喜んでもらえるんですけど、特にお返しとかはあまり期待できない」
営業職20代「(費用は)1人に対してだいたい1000円いかないぐらい。それかける10個ぐらい」
中にはこんな女性も。
会社員25歳「チョコレートですって言ったら、『義理だけどもらってあげるよ』みたいな」
職場のコミュニケーションを円滑にすることもある義理チョコだが、専門家によると、女性社員に強要したり、受け取るときに心ない言動をしたりした場合には、パワハラになる可能性が出てくるという。
◆“義理チョコ禁止令”
そんな義理チョコについて、大きな決断をした会社がある。IT関連や語学事業などを行う『全研本社』では、外国籍の社員が増えたことなどを理由に、義理チョコをやめようという声が高まり、禁止になった。
日本人社員「(前の職場では)お金を集めて購入してきて渡すっていう行事があったので、お財布の面でも正直、助かっています」
フランス人社員「フランスで義理チョコの文化がないので、あげないといけない会社だとちょっと困るというか。ホッとしたというか、安心しました」
義理チョコ禁止は、社員に好評のようだ。
『全研本社』人事広報課 橋本歩惟さん「女性の方からは、義理チョコ禁止になったことでちょっと楽になったという声があったりもしますし、礼式的な制度がないってところに関しては、すごく開放的になったという声はある」
さらに別の会社では、義理チョコやそのお返しを自粛したりなくしたりするかわりに、募金活動を行い、西アフリカ地域で水田をつくる費用になっているという。
◆禁止の動きに危機感も…
広がりをみせる義理チョコ禁止の動きに危機感を感じているのは、百貨店業界だ。逆風気味の今年のバレンタイン商戦には、秘策も。
チョコを買いに来たお客さんが、その場で食べられるイベントを仕掛けた。そして、SNS映えする写真を撮ることができるスポットも。チョコの魅力を拡大させようという狙いだ。さらに、販売している高級チョコが回転ずしのように目の前に回ってくる企画まで。
百貨店がここまで力を入れる理由は、やはり、義理チョコ禁止の影響があるようだ。
『松屋銀座』洋菓子バイヤー 牧野賢太郎さん「世の中の傾向として、年々、義理チョコの需要が減ってきているのは間違いなく顕著に表れています。新しいことはどんどん取り入れて、お客さまに満足していただけるように努力しています」
義理チョコ文化を見直そうという動きは、バレンタイン本来の意味を考える、いい機会になるかもしれない。