「世界が『月』に熱視線」 宇宙を身近に
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「世界が月に熱視線」。SPACE WALKER代表取締役CEOの眞鍋顕秀氏に話を聞いた。
人類が初めて月面に降り立ってから50年、世界が再び「月」に注目している。アメリカのトランプ政権は、政策の目玉のひとつとして2024年までに月の表面に宇宙飛行士を立たせる「アルテミス計画」を実現するとしている。
また、中国政府も今年1月、無人探査機が世界で初めて、月の裏側への着陸に成功したと発表。日本も2023年度を目指し、インドと協力して月の南極への無人着陸探査に挑む方針をたてている。
――この話題について眞鍋さんのご意見をフリップを書いていただきました。
「ビジネスの視点」です。
アポロが月に到着して宇宙飛行士が降り立ってから50年たっています。それでアルテミスというのはアポロの双子の妹なのですが、アメリカは女性の宇宙飛行士を月に送るというような計画をいま立てています。しかし、逆にいうと50年間、むしろ開発が進んでいなかったということです。
――50年間、月に行けなかったということですもんね。
これは何でかなと考えますと、やはり宇宙開発というのは国家主導で進めてきましたところがあり「ビジネスの視点」というのはなかったのではないかと思います。
私たちは民間でやる以上はビジネスの視点をしっかり持っていかないといけないので、輸送手段という部分に注力して進めている状況です。2027年宇宙旅行に向けて、その前にしっかり実績を積まないといけないので、2022年、2024年と2つ、無人機の開発でサービス提供を考えています。
しかし、宇宙旅行を一般の人がしたいかというと、まだ身近になっていないポイントがあって、それはお金、スキル、安全性、この3つかなと思っています。
特にお金に関しましては、私たち使い捨てロケットが主流のなか、再使用することで1回あたりのコストを下げていこうとしています。将来的には数百万でも宇宙空間に行けるというところを目指しています。
スキルに関してはみなさん宇宙飛行士というと、ものすごくトレーニングを必要かと思われているかもしれません。しかし私たちが2027年にやろうとしているのが、全行程が15分くらいのものなので、そこまで大変なトレーニングというのは必要ありません。車の免許くらいの感覚です。
安全性につきましては実績をしっかり積んでいくことが大事かなと思っています。これはもういまから無人機の開発のところからしっかり実績を積んで安全性が担保されるように進めていくことが大事だと思っています。
――本当に宇宙が身近になってきたという感じですね。
そうですね。みなさん「夢のある事業ですね」とおっしゃられるのですが、実はまだまだ距離を感じています。しかしそうではなく明日にでも自分たちは宇宙空間に行くんだという、そういう世界がもうすぐそこまで来ているんだという感覚で過ごしていただけたら、どんどん宇宙が身近に感じて宇宙産業というのがどんどん拡大していくのではないかと考えています。
――色々なことが大きく変わっていきますね。
もうすでに宇宙空間を利用したサービスというのはかなり広がっています。GPSもそうですし、通信ですよね、インターネットを全部いま、みんな宇宙に持っていこうとする取り組みもあります。宇宙はどんどん身近になってきているので、夢のあるではなく、もう現実のものとしてとらえていければなと思います。
■眞鍋顕秀氏プロフィル
日本初の有人宇宙飛行を目指し、ロケット開発を進めるベンチャー「SPACE WALKER」で経営全般を担っている。開発しているのは、翼がついたスペースプレーン。2027年以降に有人宇宙飛行を実現させる計画だ。乗客・乗員8人を乗せて高度120キロの宇宙空間に到達。宇宙空間で数分間の無重力体験ができる宇宙旅行を提供する予定だ。機体は再使用可能にして旅行費用を低価格化。誰でも気軽に宇宙に行き来できる未来を作ることを目指している。
【the SOCIAL opinionsより】