値上げの波を工夫で 野菜高値の中…ギョーザ“安さのワケ”
野菜の高値などの影響もあり、ギョーザが今、値上げとなっています。そうした中、安さを維持し、工夫で乗り切ろうとするメーカーやお店を取材しました。
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東京の下町「町屋」で78年続くギョーザの専門店。外は“カリカリモチッ”と、中は“ジュワッ”、食べ応えバツグンの「ジャンボ餃子」が名物です。
お客さん
「野菜いっぱいでおいしい」
──野菜大事?
お客さん
「健康のために」
シャキシャキ感を出すために特にこだわっているのがキャベツですが…
「餃子は一龍」紅谷菊江会長
「キャベツは夏場だと(1ケース5玉で)1000円くらいですけど、今は3300円から4000円くらいします。キャベツはダイヤモンドみたいなもの、高くてね」
東京都中央卸売市場のキャベツの卸売価格は平年の2.5倍。半年前にメニューの値段を上げたばかりのため、これ以上の値上げはできず、安くなるまで我慢することに。
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都内のスーパーでも…
お客さん(70代)
「(キャベツ)高いんだもん。作るときは100個とか200個とか作って冷凍庫に入れるけどね、きのう作ろうかなぁと思って(値段)見たら高いからやめました」
前はギョーザを手作りしていたという人も…
お客さん(70代)
「キャベツが高いのよ。白菜も高いじゃない。だから作らないでこれ(チルドギョーザ)。白菜も1/4カット200円くらいする。買えないよ。野菜ダメ、今高い」
食べ盛りの小学生の子どもがいるお母さんは…
お客さん(40代)
「ワンタンを作っているかもしれない。具が少なくなるから、ワンタンとかの方が。具が少なくて済むからいいかなと。あとスープにもなるし」
──ギョーザの代わり?
お客さん(40代)
「そういう感じですね」
“庶民の味”のはずのギョーザにも及ぶ“物価高の波”。
「味の素冷凍食品」は原材料費などの高騰を理由に、主力商品の「ギョーザ」を含む家庭用製品を来月1日から3%から10%値上げ。「餃子の王将」も豚肉、キャベツなど原材料費の高騰などを理由に今月から看板メニューの「餃子」を22円値上げしました。
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そんな中、“物価の優等生”として今ひそかに注目されているのが、スーパーなどで見かける“チルドタイプ”の「生ギョーザ」です。
記者
「9個で116円。安いですね」
──値段どうですか?
購入したお客さん(70代)
「安いじゃないですか、だからこれにしました」
都内のスーパーでは、物価高のこのご時世に、ギョーザが9個入ってお値段「116円」。
コモディイイダ SV統括部長・大塩隆一さん
「安いですよね。(売り上げは)全店舗で伸び率が130%ほど。非常に人気が高まっている」
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なぜ、この価格を維持できるのかメーカーに聞いてみました。
みまつ食品 神山光永代表取締役社長
「2年ほど前ですけど、設備投資をして(工場で働く)従業員数も減らす形で自動化を進めた。人件費を抑えられているので、企業努力として頑張っている」
ほかにもキャベツを一括契約して安く抑えるなど、コストを削減。一方で、こんな“ジレンマ”も。
──本音としては価格上げたい?
みまつ食品 神山光永代表取締役社長
「上がる分には上げたいですよ。20年くらい、販売当初からそれくらいの価格帯(100円台)で作られて販売されてきたものなので、消費者様の期待にこたえて価格をあまり変えずに続けてきた」
立ちはだかる“100円台の壁”。“庶民の味”ギョーザだけに、簡単に値上げはできないということです。