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改革は十分?“全世代型社会保障”中間報告

2019年12月19日 18:53
改革は十分?“全世代型社会保障”中間報告

政府の全世代型社会保障検討会議は、19日、中間報告案をまとめた。私たちの年金や医療費はどのように変わろうとしているのだろうか。経済部の鈴木あづさデスクが解説。

<中間報告案を整理>
◆年金

年金の受給開始を選べる年齢を拡大する方針。現在の制度では60歳から70歳の範囲で年金の受給開始を選ぶことができるが、60歳から「75歳」にまで広げるという。

まだまだ働きたいと思う元気な高齢者に就業を促し、年金制度の支える側になってもらうという狙いだ。

◆医療費

病院で受診したときの自己負担額を引き上げる案が盛り込まれた。

現在、6歳から69歳の、いわゆる現役世代の自己負担額は「3割」。高齢者になると、現役並みに所得の高い人を除いて、70歳から74歳までは「2割」、75歳以上は「1割」の自己負担となっている。

中間報告では、この75歳以上の人で「一定の所得以上の人」について、負担割合を「2割」に引き上げる方針だという。

■社会保障制度、これで十分といえる?

いえ、これで十分とはとても言えないんです。

今回、焦点となっていた医療制度改革。もともと検討されていたのは、75歳以上の高齢者は「基本的に2割以上負担」という案でした。

ところが中間報告では、75歳以上の2割負担は一定以上の所得がある人に限った限定的なものとなっているんです。所得の範囲によっては、限られたごく一部の人だけが2割負担となることになりかねません。

また、もともと全ての病院の外来で受診時に一定額を追加負担する、いわゆる「ワンコイン制度」の新設も検討されていましたが、医師会などの反対を受けて見送られました。

かわりに、大病院で紹介状がない患者が受診した際に限って、一定額を追加で上乗せすることになりました。

■もともとあった制度に額を上乗せしただけ?

その通りなんです。

また、花粉症や風邪薬などの市販の薬があるものについては、医療保険の対象外とすることも検討されていましたが、これも先送りされているんです。

■改めて、これで十分な改革といえる?

もともとは、団塊の世代が75歳になり始める2020年から社会保障費が激増することから、若い世代の負担を少しでもやわらげようと、政府が「全世代型」の社会保障を打ち出したんです。

今回の中間報告では、増え続ける社会保障費を乗り切れるだけの痛みを伴う改革には踏み込めていないと言わざるを得ません。

政府は来年夏の最終報告に向けてさらに議論しますが、全ての世代に向けた制度になるのか、本気の改革に取り組んでほしいと思います。