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経済
2020年1月1日 19:55

岐路に立つ…コンビニ「24時間年中無休」

岐路に立つ…コンビニ「24時間年中無休」
(c)NNN

「24時間365日あいているのが当たり前」のコンビニエンスストアに2019年、大きな風が吹いた。

「もうあかん、店を閉めるか自分が死ぬかや」。

バイトが集まらず、連日深夜の勤務を続けていた東大阪市のセブンイレブンのオーナーが2019年2月、本部の許可を得ないまま、時短営業に踏み切った。これをきっかけに全国のコンビニのオーナーたちが声をあげ始めた。

「人手が足りず、毎日寝る時間もなく働いている」「もう何か月も休んでいない」

聞こえてきたのは深刻な人手不足により疲弊するオーナーたちの悲痛な叫び。「コンビニの24時間営業問題」は国会でも取り上げられるほど社会問題化し、経済産業省も動いた。

4月、世耕経産相(当時)はコンビニ各社のトップを呼び、問題を解決するための行動計画を示すよう求めた。これを受け、コンビニ各社は加盟店、つまり、オーナーたちへの支援を前面に打ち出した行動計画を策定。

最大手のセブンイレブンは深夜、店を閉める時短営業の実証実験を始め、11月には半年間の実験を経て正式に時短営業に移行する店が誕生した。12月末時点で時短店は全国で35店となり、さらに380店が実験中だ。

ファミリーマートでは全国のすべての加盟店を対象にアンケートを実施したところ、半数近くが時短営業を「検討したい」と回答。この結果を踏まえ、加盟店が時短を希望すれば認める方針を示した。もともと時短営業を認めていたローソンでも、時短店の数は2月時点の40店から12月には142店へと急増した。

こうした動きについて消費者からは「困る」「不便」「夜中もあいていると安心」という声がある一方で、「すべての店が24時間あいている必要はない」「必要なものは買い置きすればよい」など時短に肯定的な意見も多く聞かれた。しかし、営業時間の見直しには課題も多い。

そもそも、1970年代に誕生したコンビニは、時代の変化や消費者のニーズに合わせて営業時間をのばし、いまの年中無休、24時間営業のかたちとなった。商品の製造や配送のシステムもそれに合わせて効率的に構築されている。

深夜に店を閉めるとなると、現在、夜中に配送される商品をどうするか。時短店が限られた数であれば店の敷地内に温度管理のできる倉庫を置くことなどで対応は可能だ。大手コンビニ幹部によると「時短店が1000以下であれば現状のシステムで対応できる。それ以上になると根本からシステムの見直しが必要になる」という。本部と加盟店だけの問題ではない。

提携する工場の稼働時間や配送ルート、配送時間なども変更しなければならず、対応するためには相当な時間と投資が必要だ。オーナー側の憂慮もある。全国に5万5000店以上もあるコンビニの商圏は都市部では半径100メートルといわれる。道路の向かい側やほんの数軒先にコンビニが並んでいるケースもある。オーナーたちに聞くと「隣の店が開いているのに自分の店を閉めるには勇気がいる」という。

コンビニでの買い物には「習慣性」があり、多くの客は「いつも行く店」を利用する。夜間の客が隣のあいている店に行くようになると、その客は昼間も隣の店に行くようになり、結局、営業している時間帯の客の数まで、減少してしまう懸念があるのだ。このため、近隣の競合店と「我慢比べ」の状態になっているという。

「働き方改革」を旗印にコンビニだけでなく全国のスーパーや飲食業界にも営業時間短縮の動きが広がった。

この年末年始はローソンとセブンイレブンが一部店舗で元日休業の実証実験に踏み切ったほか、コンビニ以外でも、ロイヤルホストは大みそかと元日を原則休業に、すかいらーくのグループ各店も大みそかから元日にかけて営業時間を大幅に短縮した。

こうした変化はまだ始まったばかりだが、本格化するには、長年、便利さを当たり前のものとしてきた我々消費者の意識改革も必要となりそうだ。