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【解説】日枝氏は41年がんばってはいけなかったのか?フジテレビが“ハラスメントに寛容な企業体質”になった理由

2025年4月30日 7:00
【解説】日枝氏は41年がんばってはいけなかったのか?フジテレビが“ハラスメントに寛容な企業体質”になった理由
中居正広氏とフジテレビ元社員の女性をめぐる問題が第三者委員会によって検証され、フジテレビは「全社的にハラスメント被害がまん延」し、「人権意識が低く、ハラスメントに寛容な企業体質」であると断定された。この問題で多方面から責任を問う声が向けられたのは、日枝久元取締役相談役だった。大株主のファンドは「なぜたった一人の独裁者がこの巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのか」「何よりも重要なことは、日枝久氏が辞任することだ」と追及。

さらに、20年前ライブドアによる買収騒動の際、フジテレビを“救った”北尾吉孝氏(SBIホールディングス会長兼社長)までもが、「日枝氏の40年以上にわたる政権の中で、企業の価値・使命が消失していると言わざるを得ない」と非難した。“41年という長さ”が問題なのか? それなら孫正義氏や柳井正氏も引退しなくてはいけないということか? 高齢になっても、会社に“貢献”し続けたことは悪いことだったのか? 「企業不祥事=トップに責任」という図式の背景にある意味を考える(解説委員・安藤佐和子

■トップの在任期間が長いと起きる問題は…

一般的に、企業不祥事が起きると、社長は直接問題に関わっていなかったとしても責任を問われる。(注:今回のフジテレビ前社長の場合、当該問題に直接の関与あり)しかし、日枝氏は一般的に引責が問われる「社長」ではない。相談役だ。それなのになぜ、日枝氏がもっとも名指しで非難されることとなったのか? 「異様に長い期間、取締役であり続けた」などと批判されたが、人脈もあり、知恵も経験もリーダーシップもある人物が、「取締役相談役」として会社に“貢献し続けた”ことはいけないことだったのだろうか?

「倫理を軸とした経営」などを説く名和高司氏(京都先端科学大学教授)は「日枝氏のような影響力の大きい人物が長くトップに居続けることはガバナンス上問題がある」と言い切る。「問題が起きた時に、みんなが“人事に影響するのではないのか?”と恐れてしまい、情報が上にあがっていかない企業体質になってしまう」からだという。

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