SNSリテラシー 企業が続々対策 背景に何が【#きっかけ解説】
多くの人が毎日使っているLINEやインスタなどのSNS。非常に広く普及した一方で、悪い意味でも大きな影響力を持つようになりました。
例えば、偽情報が書かれた広告による詐欺被害、また、広告だけでなく災害時に偽の情報が投稿・拡散された結果、被災地での救助活動に支障をきたすような事態も発生しました。
また、SNS上での誹謗中傷についても、名誉毀損で訴訟になったり、自殺者が出たりと、大きな社会問題になっています。こうした状況を受けて、サービスを提供する企業などが自発的に対策に乗り出しているんです。
NTTドコモの出張授業を受ける高校生たち
「この建物 渋谷?」「東…東急なのか」
こちらはNTTドコモが都内の高校で実施した出張授業です。
一体何をしているのかといいますと、SNSを見て「推し」の居場所を当てようというゲームなんです。動画や画像から居場所を特定されてしまうリスクを学ぼうという狙いです。
たとえば、これらの画像…実は、投稿者の情報が漏れてしまう、あるものが映り込んでいるのですが、郡司さん分かりますか?
ー私もインスタをやっているのですが、映り込みには気をつけてます。
ポイントがこちら。まず、瞳を拡大して、そこに映っている景色から居場所を特定されるリスクがあります。
次に、こちらのマンホール。書かれている番号などからエリアを特定される可能性があります。
さらに、鍵の映り込みにも要注意です。鍵の形状が分かるだけで、合鍵を作られてしまう 危険性もあります。
ー色々、気をつけなければいけませんね…
この授業を監修した神戸大学の森井昌克名誉教授によりますと、「投稿する時間や周囲に映り込むもの、アカウントの公開設定などを意識をするだけで、情報漏えいは9割以上防ぐことができる」といいいます。
一方、LINEみらい財団はSNSの「誹謗中傷リスク」についての教材を今月から公開しています。今後、他のテーマについても教材を作ることを検討しているということです。
また、TikTok Japanは、SNS上にあふれる「偽情報・誤情報」の対策として、インフルエンサーを集めて偽情報や誤情報の見極め方などについて勉強会を開催しました。
アプリ上でも、コンテンツの真偽を検証できない場合には、このように「信ぴょう性が未確認」というラベル付けを行っています。
ー企業側の取り組みが広がっている背景には何があるのでしょうか?
SNSがこれだけの影響力を持つようになったいま、事業者の社会的責任が大きくなっていて、「取り組まざるをえない状況」という見方もできると思います。
業界関係者からは、「オーストラリアでは16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決されたが、日本ではそうした動きもないので、個人や企業に委ねられている側面が大きい」という声も上がっていました。
ー上野さんがきょう一番伝えたいことはなんですか?
SNS上の様々なリスクに対し、企業や政府の取り組みが進められているものの、SNSを安全に使えるかどうかは、結局、利用者一人ひとりにゆだねられています。
様々な種類のSNSが普及しているなかで、利用者側が、それぞれの企業の考え方や対策を理解した上で、サービスを使うことが大切です。【#きっかけ解説】