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【解説】「ドル高是正」どこまで現実味? 日米財務相会談前に円高進む 1ドル=139円台

2025年4月22日 20:03
【解説】「ドル高是正」どこまで現実味? 日米財務相会談前に円高進む 1ドル=139円台

24日(米国時間)に行われる見通しの日米財務相会談を前に、外国為替市場で円高が進んでいる。アメリカが関税交渉の一環として円安ドル高の是正について議論する構えを示す中、会談の行方次第で円高がさらに進む可能性もある。「円安ドル高の是正」には、どこまで現実味があるのだろうか。

●トランプ大統領がパウエル氏批判 中央銀行の独立性への懸念でドル売り進む

直近の円高の要因となっているのは、アメリカのトランプ大統領がFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長を批判し、事実上退任を求める発言をしていることだ。トランプ大統領は21日も、SNSへの投稿で「予防的な利下げが多くの人から求められている。エネルギー価格は大幅に下がり、食品の価格も下がるなどしていて、事実上インフレはない」と主張。FRBに対し改めて利下げを求めたほか、パウエル氏を「Mr. Too Late(ミスター・遅すぎる人)」と批判した。

実際にトランプ氏がパウエル氏の解任に踏み切ろうとしても、裁判になる可能性が高い。その場合、パウエル氏の任期である2026年5月までに結論が出る可能性は低いとの見方が市場では大勢だ。それでも、パウエル氏の人事にトランプ氏が踏み込めば、中央銀行の独立性が脅かされることになる。こうしたことへの懸念や、アメリカ経済の先行きに対する不透明感から、21日のダウ平均株価は1000ドル近く下落。22日の外国為替市場でもドルを売る動きが続き、円相場は節目の1ドル=140円を割り込み、2024年9月以来の1ドル=139円台まで円高に進んだ。

●今週の焦点は日米財務相会談 為替の行方は

こうした中、24日にはアメリカのワシントンで、加藤財務相とベッセント財務長官の会談が行われる見通しだ。日米関税交渉を担当するベッセント氏は、SNSで関税や非関税障壁とともに、「通貨問題」を取り上げる考えを示している。ただ、交渉の事情を知る政府関係者は「為替について具体的な要求はまだ何も受けていない。アメリカが言ってこないのなら、こちらから為替の話を持ち出すことはない」と述べ、会談でアメリカ側がどのような考えを示すかを、まずは見極める方針だ。

金融市場関係者の間では、会談でドル高を是正する動きが出て、円相場がさらに円高に進むことへの警戒感が強い。ただ、「人為的なドル安誘導」の具体策に踏み込むような協議の詳細が、会談後に発表されるかどうかは微妙なところだ。市場関係者からは「オモテの発表に、為替の具体的な協議内容は出てこないだろう。そうなると、期待された内容がなかったと金融市場が受け止め、会談直後は為替はむしろ、円安ドル高に進む可能性がある」との見方も出ている。

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●円安ドル高の“是正”実現可能性は?