「備蓄米」入札開始 価格は? 飲食店や病院から“期待”の声
なかなか価格が下がらないコメについて、10日に備蓄米の入札が始まりました。この備蓄米が出回れば、価格は落ち着くのか。飲食店だけでなく、病院からも期待の声が聞かれました。
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10日夜、『news zero』が訪れたのは都内にある洋食店「キッチン谷沢」。人気のハンバーグやステーキとともに、ほぼ全員が注文していたのが「おコメ」。
利用客
「必ずライス頼む」
大町怜央フィールドキャスター
「どんな存在?」
利用客
「あって当たり前の存在」
1日に10キロものコメを使っているといいます。そのため高騰は大きな痛手。
キッチン谷沢 スタッフ
「大盛りも前は50年間無料でやっていた。もう耐えきれなくて。今は100円にしたが、100円も追いつかない」
──備蓄米の入札に期待は?
キッチン谷沢 スタッフ
「(高騰が)下がればいいなと思うが、不安が大きい」
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待ち望まれる「備蓄米」の放出。10日から入札が始まり、「JA全農」など大手業者が申し込みを行いました。
JA福井県では、その「入札」が行われていました。入札はオンラインで行われ、JA福井県では、県内産の備蓄米を優先に買い入れる方針です。
JA福井県 担当者
「価格の水準ボーダーラインがわからないので(他県の業者が)県産米を取りに行く場合については競合になるので、そちらとの価格の競り合い」
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神奈川県のスーパー「スーパーマーケットセルシオ和田町店」では…。
記者
「5キロのコシヒカリなんですけど4000円超えていますね」
このスーパーでは、今もコメの価格が“異常”だといいます。そのためか、コメ売り場ではコメとにらみ合った結果、手に取らない客が続出。
コメを諦めた客
「やっぱり今、高いので、なかなか手が出せないですよね。(備蓄米で)もうちょっと下がってくれると、手が届く値段になってくれるといいんですけど」
去年からコメの価格は上がり続け、備蓄米の放出が発表されてからも高騰は止まりません。最新のデータでは、2月24日から3月2日の週は、5キロあたり3952円に。去年6月と比べて倍近い価格になっています。
この状況に、街の人は…。
4歳の子どもを持つ主婦(40代)
「子どももパンよりご飯が好きだけど、パンの割合が増えてきました」
1歳の子どもを持つ主婦(30代)
「最近は寒いので、焼き芋を主食に置き換えたりして工夫しています」
主食をコメ以外の物に置き換える人も。
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さらにコメ高騰の影響は、こんなところにも。
コメの値上がりにより、病院食を提供している病院からも“悲鳴”が上がっていました。
武蔵野徳洲会病院 栄養管理室 副室長
「これが明日使うコメです。朝1食です」
この病院で1日に使うコメの量は、約60キロ。
武蔵野徳洲会病院 栄養管理室 副室長
「値上げの波、来てるのが実感です。1食の価格設定は変えられない。材料費が高ければ、出るお金が増える」
さらに病院食は、カロリーや栄養価などが決められているため、量などを減らすことはできないといいます。
武蔵野徳洲会病院 栄養管理室 副室長
「入札進むことによって、価格が下がれば越したことはない。品質が維持され、安価に(コメを)購入できることを望みます」
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今後、コメの値段はどうなるのか? コメの生産や流通に詳しい専門家は…。
コメの生産や流通に詳しい 宇都宮大学 小川真如助教
「備蓄米がほぼ全量、しかも安く落札されたとなれば、3月末や4月頭には、価格の下落が体感できる。東京で5キロ3800円とか3900円、落ち着いてくれば、政策としては効果あったといえる」
来月ごろには、1割ほど安くなる可能性もあるということです。
(3月10日放送『news zero』より)