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【なぜ】トナミHD買収の背景 専門家は「上場が足かせに 日本郵便と利害が一致」

2025年2月27日 20:03
【なぜ】トナミHD買収の背景 専門家は「上場が足かせに 日本郵便と利害が一致」

日本郵便はきのう、トナミ運輸を中核会社とする東証プライム上場の「トナミホールディングス」を、TOB=株式公開買い付けで買収すると発表しました。

物流業界は経営環境が厳しく、日本郵便の傘下に入ることは、トナミホールディングスにとって生き残りをかけた判断です。専門家に狙いを聞きました。

日本郵便の傘下に入り非上場化へ トナミHDの判断の背景は


トナミホールディングスは高岡市に本社を置く物流会社で、全国に拠点を持ち、トラック輸送や倉庫業などを手がけています。

日本郵便は今後、創業家、それに経営陣と共同で会社を設立し、TOB=株式公開買い付けを行って、トナミホールディングスの全株式の取得を目指します。

TOBは928億円を見込み、日本郵便の出資額は8割に相当する750億円の予定です。

トナミホールディングスは日本郵便の連結子会社となり、上場は廃止される予定です。創業家、それに経営陣は今後も継続して経営にあたります。

トラック運転手の残業規制強化により輸送能力が不足する、いわゆる「2024年問題」。物流業界では生き残りをかけた合併・買収が活発化しています。

トナミホールディングスも2023年度に4社を買収したほか、去年6月には石川県金沢市の物流・倉庫会社を37億円で取得しました。

今年3月期の第3四半期連結決算の営業収益は過去最高で、業績は好調です。

しかしトナミホールディングスは、上場を維持したままでは短期的な利益を重視する投資家の影響を受けやすく、企業理念や文化を守るためにも、非上場化を検討してきたとしています。

県内の専門家は。

北陸経済研究所 辻野秀信主任研究員「上場会社ですので、やりたいことをすぐ決められなかったりとか、決定のスピードという部分で負担もあったと思うので、上場が足かせになっていた面もあったかと思う」

相互補完関係へ「日本郵便と利害が一致」


非上場化には自社株を購入する資金が必要ですが、郵便事業が苦境にある日本郵便と利害が一致したと分析します。

北陸経済研究所 辻野秀信主任研究員「日本郵便で抱えているドライバーは協力会社も含めると非常に多いですけれども、日本郵便の事情でいうと、郵便物というのはどんどん減っていっていますので、年賀状ももちろん減っていますし運ぶものがない。一方で物流会社、トラック運送会社でいうと、運べる人がいないという問題があるので、そういった部分で相互が補い合える環境なんじゃないかなと思います」

両社の輸送ネットワークを活用した効率的な物流体制の構築や、新たな物流サービスの開発も期待されます。

辻野主任研究員は、物流業界では今後も合併・買収などの動きが加速するとみています。

北陸経済研究所 辻野秀信主任研究員「これから進むのは、大手同士ということであれば協業という形が最初に進む。小さなところはM&Aで大手の傘下に入って地域の物流を担うということは出てくると思う」

最終更新日:2025年2月27日 20:03
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