『備蓄米』ってなあに?放出基準、味など“3つのギモン”を取材【そもそも.】
そもそも、『備蓄米』とは何か?
『備蓄米』を放出する基準は?
市中に、出回っているのか?
味は、どうなのか?
この3つのギモンの答えを求めて、取材しました。
今回、農林水産省農産局企画課に、話を伺いました。
まず、概要です。
備蓄する量は100万トン、期間は最大5年。
毎年20万トンずつ入れ替えます、いわゆるローリングストックというと分かりやすいでしょうか。
5年を過ぎたものは主に飼料用として売却されます。
そして放出する際は、炊いて食べる主食用なら、比較的新しいものから出していくそうです。
担当者も試食するそうですが、「普段食べているお米と比べ、特別 味が落ちることは無い」とのこと。
放出するプロセスは?
大学教授、食品会社、マスコミの解説委員など有識者による会議を経て、最終的には農林水産大臣のゴーサインで決まります。
放出する基準については、明確に定められていません。
基本的には、コメの不作に備え備蓄はされていますが、2011年の東日本大震災では不作ではなかったけれど、収穫後 保管されていたコメが地震により汚れたり津波で流されたり食べられない状態になったため、放出されたケースも。
基準を定めず、会議で柔軟な判断をその都度という意図のようです。
『備蓄米』は、国が管理を委託した倉庫で保管されます。
倉庫は、「管理が厳重」なのだそうです。
倉庫がどこにあるか、場所は一般には決して明かされません。
食糧テロなどを防ぐ意図です。
そして、きめ細やかな温度管理。
空調を使って倉庫内の管理はもちろんですが、袋の中に温度計を差し込んで袋の中心の温度も測る徹底ぶりなのだそうです。
この点は、安全もそうですが、気になる味にも関わりそうですね。
最後に、『備蓄米』の放出状況と、最も気になる価格の現状を見ていきます。
今年の放出は、3月以降 14万トン、7万トン、10万トンと3回で計およそ31万トンです。
ただ、集荷業者、消費者へ届く過程の中で、取引や袋詰め、輸送に時間が掛かっているそうです。
価格の推移を見ると、5月12日発表された最新の数字で、ようやくほんの僅か下がりました。
担当者の方曰く、少しずつではあるが『備蓄米』の流通が進んだことが要因ではないか、ということです。
ちなみに、『備蓄米』はパッケージに備蓄米と書かれて販売されるわけでは無く、『ブレンド米』として出回るそうです。
『備蓄米』の台頭を、売り場で実感するのは難しいかもしれません。
価格が下がることで、実感できることを願うばかりです。