みんな大好き!パレスチナの絶品スイーツ

治安が安定し、経済も発展するパレスチナ自治区・ヨルダン川西岸の町に、人気の絶品スイーツがある。
岩がちな丘陵地帯にオリーブ畑が続くヨルダン川西岸。その北部にあるナブルスは人口約34万人、ヨルダン川西岸で最大規模の町だ。イスラエルによる占領や紛争が続き、経済は壊滅状態が続いていたが、ここ数年、治安が安定し、経済が上向いている。町への出入りを厳しくチェックしているイスラエル軍の検問所がいくつか閉鎖され、人の往来が以前よりも簡単になったことも大きな要因だ。町には大規模なショッピングモールも建設中で、モール内にはパレスチナ自治区で唯一の商業映画館もオープンするなど、活気ある雰囲気となっている。
ナブルスの中心に、多くの人でにぎわう店がある。「クナーファ」と呼ばれるアラブスイーツの店だ。クナーファは小麦粉の一種「セモリナ粉」の間にチーズや砂糖を挟んだ菓子で、老若男女を問わず中東全域で親しまれている。
ナブルスのクナーファは、特に本場として有名だ。去年7月には世界最大のクナーファ作りに挑戦し、見事ギネスブックに認定されるなど、ナブルスにとってクナーファは単なる菓子以上の存在。何世代にもわたって伝えられてきた「財産」と言う人もいる。
ここでレシピを大公開!
1.銅製のプレートにバターを塗る
2.砂糖と混ぜたセモリナ粉を、ふるいにかけて敷く
3.セモリナ粉の上に、味の決め手となる地元産のチーズを入れる
《一口メモ》ナブルスのクナーファが特別においしいのは、チーズとその塩分を取る水がいいため!
4.弱火のグリルで、時々回しながら10分間焼く
《ポイント》火加減が重要!
5.焼き上がったらシロップとピスタチオナッツをまぶして完成!
こうして完成したクナーファは、切ってみるとチーズがのびる。外側の軽く焦げ目がついたさくさく感と、中のチーズのふわふわ・とろり感が微妙に一体となって、甘さが控えめでとても美味だという。
ナブルスで最も古いクナーファの店の一つでは、地元の人だけでなく、外国人観光客もクナーファを楽しんでいた。クナーファ作り20年以上のベテランという店長のアブルアイ・アルアケルさんは「ナブルスにとってクナーファは、イタリアのピザ、日本のすしのようなものなんです。どの国にも特有のおいしいものがあり、ナブルスにとっては、それがクナーファなんだよ」と話す。
パレスチナ自治区はイスラエルによる占領が続き、独立を求めるパレスチナ人の願いはいまだ実現するメドが立っていない。アブルアイさんは、将来への希望を「残念ながら、我々はクナーファではなくイスラエルとの問題で有名ですが、状況が良くなり、ほかの人々と同じように平和に暮らせる日が来ると願っています」と語った。
和平が実現すれば、もっと多くの人がナブルスを訪れて、クナーファはもっと有名になる。そう信じて、アブルアイさんは今日もクナーファを作っている。