スーツや靴が無料、再就職目指す女性の味方

4月の失業率が9.9%と依然として厳しい雇用状況が続いているアメリカで、再就職を目指す女性たちの強い味方となっている非営利組織(NPO)法人をワシントン支局・平野亜由子記者が取材した。
依然として厳しい雇用状況が続くアメリカでは、多くの人が再就職活動を行っている。採用面接を受けるにあたり重要となるのは日本と同じように「身だしなみ」だが、面接にふさわしい新しいスーツや靴をそろえるのは失業中の人にとって経済的に大きな負担となる。
97年にアメリカで設立されたNPO法人「ドレス・フォー・サクセス(成功のための洋服)」では、再就職活動をしている失業中の女性に無料でスーツやカバンを提供している。ドレス・フォー・サクセスは各地に事務所があり、活動を行っている。また、この取り組みはオーストラリアやイギリスなどでも行われている。
ワシントン市内の事務所の中には女性もののスーツやブラウス、スーツに合うようなカバンや靴が所狭しと並んでいる。品物はアメリカ各地から寄付されたものだが、新品同様のものも多く、中には「アルマーニ」や「フェラガモ」といった高級ブランドの品物もある。
面接に向け、肌やつめの手入れの仕方などもアドバイスしている。事務所に張られたポスターには「顔は毎日2回洗うこと」「つめをかんだり、めくったりしてはいけない」などと書かれている。また、採用情報の提供や履歴書の書き方の指導なども行っているほか、無料で髪を切ってもらえる美容室も紹介している。
利用する際には予約が必要だが、ここ約1年で利用者が急増し、日によって20人から30人の団体がやってくることもある。今年3月には300人以上が訪れたということで、新たな就職先を求める女性たちの強い味方となっている。