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上海万博、最新の環境技術への関心高まる

2010年5月30日 14:02
上海万博、最新の環境技術への関心高まる

 開幕から1か月を迎える中国・上海万博は、29日に一日の入場者数が初めて50万人を突破するなど、人気が高まっている。展示されている最新の環境技術への関心も高まっている。

 上海万博には、開幕からの1か月間に700万人以上が訪れた。テーマは「よりよい都市、よりよい生活」で、会場では環境保護の理念に基づいた建物や展示が多く見られる。

 建物自体に最新の環境技術が取り入れられている日本館の特徴の一つが「エコチューブ」と呼ばれる柱で、建物の中に太陽の光が差し込むほか、床下の冷たい空気も取り込め、電気代が節約できるという。また、雨の日には、雨水を床下の水槽にためる役割も果たし、雨水は再利用されている。エコロジーに貢献できる柱を使ったパビリオンは世界初だという。

 一方、中国館では、展示の最後のコーナーで、最新の環境技術を紹介。環境問題に積極的に取り組む姿勢を世界中に印象づけようという思惑が感じ取れる。

 中国が環境対策を強調するのは、深刻な事情に直面しているためともいえる。万博会場から車で約1時間のところにある上海市内の川は、魚やエビがとれた清流だったが、近くに工場ができ、排水を垂れ流すようになってからは何もとれなくなった。近所の住民は「死にそうなほど臭いです。夏にはハエや蚊が多くて…。ゴミもです」と話す。

 上海で開かれた写真家・盧広さんの作品展では、中国メディアも報じない環境破壊の実態が明らかにされた。盧さんは常に当局にマークされ、公の場には現れることができないという。写真展の主催者は「中国のGDP(=国内総生産)は毎年増えていますが、その裏側には代償があります」と話した。

 「よりよい都市、よりよい生活」をテーマにした上海万博。その掛け声通りに、中国は直面する環境破壊を克服できるのか。ビッグイベントの成果が問われている。