天安門事件21年 厳重警備の中、母の祈り
中国で民主化運動が武力弾圧された天安門事件から4日で21年。3日、一人息子を失った母親が事件現場で追悼を行った。
3日夜、中国の警察は、北京の天安門広場の近くに集まった外国メディアの取材を妨害した。厳重な警戒の中心にいるのは、天安門事件で、当時17歳の一人息子を失った丁子霖さん(74)と夫。
天安門事件は、犠牲者の数が政府の発表(319人)と政府関係者の証言(727人)が大きく食い違うなど、今も真相は闇に包まれている。そんな中、丁さんは当局の妨害を受けながらも真相究明と情報発信を粘り強く続け、「天安門の母」と呼ばれている。
3日夜、遺族たちは天安門広場に集まることを計画していたが、たどりつくことができたのは丁さん夫妻だけだった。現場に来られなかった遺族の一人、徐カクさん(72)は、事件で当時21歳の子供を失った。現在、腸と肝臓のガンで放射線治療を受けている徐さんは「私に残されている時間はもうあまりないでしょう。しかし、世界と中国の次世代の正義感ある人たちが、絶対に解決してくれると信じています」と話す。
21年前から驚異的な経済成長を遂げた中国だが、天安門事件の再評価は行われず、事件を知らない若者が増え、風化も進んでいる。
★徐カクさんの「カク」は王へんに「玉」