モスクが9・11テロ現場近くに 賛否二分
アメリカ・ニューヨークで01年9月に起きた同時多発テロの現場近くにイスラム教のモスクを建設する計画が進み、議論になっている。こうした中、ニューヨーク市は3日、モスクの建設を事実上認めることになる決定を下した。
モスクの建設はニューヨークにあるイスラム教の普及団体が計画し、建設予定地はグラウンド・ゼロからわずか2ブロック先の場所にある。これに対し、遺族の一部や保守派の政治家が「無神経だ」と猛反発し、宗教の自由は守られるべきだとする人たちと世論を二分する事態となった。
こうした中、市の歴史建造物保存委員会で3日、モスク建設の行方を決める採決が行われた。同委員会の委員らが、今ある建設を歴史的建造物に指定すればモスクは建設できなくなるが、「保存する必要なし」の決定が下され、モスクの建設に事実上のGOサインが出た。その瞬間、反対派からは「恥を知れ!」とヤジが飛び、泣き出す人まで現れた。一方、賛成派は「結果に満足している。宗教の自由は憲法で保障されていますから」と話した。
これに対し、モスク建設予定地の近くで働く人は「すぐ近くにもモスクがある。1つくらい増えてもあまり変わらないよ」と話している。
アメリカ人の一部での根強いイスラム教への不信が浮き彫りになった今回の騒ぎ。政治問題化しようとする動きもあり、モスク完成までには紆余(うよ)曲折も予想される。