ジョンウン氏27歳で公式デビューの意味は
北朝鮮・金正日総書記の後継体制構築に向けた動きが大きな節目を迎えた。金総書記の三男・ジョンウン氏が28日、軍の大将に任命され、公式デビューを果たした。ジョンウン氏が27歳という異例の若さで表舞台に登場したのには、どのような意味があるのか。ソウル支局・大滝公成記者が解説する。
大将は軍の階級で、北朝鮮では大元帥などに次ぐ上から4番目で、ジョンウン氏より上位には、生きている人は10人しかいない高い位。
金総書記が対外的に存在を公にされたのは38歳の時で、それに比べれば随分若いデビューといえる。ここ数年、すでに実務を行っている可能性は高いが、水面下でじっくりと足場をかためるよりも、この時点で存在をオープンにすることを選んだといえる。
その背景にちらつくのが、金総書記の健康問題。08年、脳の疾患で倒れて以来、後継体制の構築はスピードアップしたといわれる。「自分が健在のうちに」という思いがあったものとみられる。それは今回、軍の大将に妹・金慶喜氏を同時に任命したことからもうかがえる。自らの状態に不安があるからこそ、唯一気を許せる金ファミリーの血を引く妹を「後見役」としてつけたと考えられる。
ジョンウン氏が代表者会で党の役職に就いたという報道はまだないが、今後は、金総書記を支えながら、かつて金総書記が行った以上のスピードで権力を受け継ぐことを求められることになる。まもなく公になるとみられる人事でジョンウン氏を支える体制がどのような形になるのかも注目される。