漁業監視船派遣、中国の思惑は 記者報告
20日朝、沖縄・尖閣諸島付近に中国の漁業監視船2隻が航行しているのが確認され、海上保安庁が巡視船などで警戒を続けている。日中関係に修復の兆しが見える中、中国はなぜこの時期に漁業監視船を派遣したのか。外報部・長谷川次郎記者が報告する。
漁業監視船「漁政310」は、16日に広東省を出港した。中国国営・中国中央テレビはその性能について「ヘリコプターも搭載可能な最新鋭の監視船」と伝えている。さらに、こうした監視船は今後、尖閣諸島だけでなく、中国が周辺国と領有権を争い、重点地域と位置づける南シナ海などにも投入されるという。
「漁政310」の就航にあたり、監視船の活動を管轄する中国当局の幹部は「海洋権益を守る任務は今後、ますます重くなる」とした上で、「さらに多くの監視船を建造する計画がある」と明らかにしている。
横浜市で行われた日中首脳会談を受け、日中関係が修復の兆しを見せる中、尖閣諸島付近に投入された監視船。日中関係への配慮を超えて、長期的な戦略に基づいて海洋権益の確保を目指す中国政府の姿勢が鮮明になった。