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中国の高度経済成長、見通しと問題点は?

2010年12月30日 1:07

 日本を抜いて世界第2位の経済大国となるのが確実の中国。中国経済の見通しについて、上海支局・藤田和昭記者がリポートする。

 上海万博は、万博史上最多の入場者数を記録した。北京オリンピックに次ぐビッグイベントの成功で、中国は急成長する国力をアピールした。

 中国経済は去年、リーマンショックから立ち直り、今年も高成長を続けている。来年の中国経済の見通しについて、専門家は去年と比べて9%前後の伸びと、引き続き高い成長率を維持すると予測している。

 背景には、内需の拡大があると指摘されている。自動車販売台数はすでに去年の台数を上回っていて、2年連続世界一は確実な状態。投資熱も高まっていて、国内の物件だけでなく、日本の不動産の購入も相次いでいる。好調な経済は、中国人の味覚にまで変化を及ぼしている。もともと中国では、生魚を食べる習慣がなかったが、日本料理の影響もあり、すしや刺し身として食べられるような新鮮な魚の需要が増えている。中国での消費が伸びることで、水産資源をめぐって日本などとの競争が今後激しさを増すと予想されている。

 「三井住友銀行(中国)有限公司」の薗田直孝部長は「沿岸部のみならず、内陸でも裕福な人が増えている。昨日より今日、今日より明日というふうに、生活が良くなるという期待感が大きな消費パワーに転じている」と話す。

 一方で、懸念材料もある。日系企業の工場も含め、賃上げ要求のストライキが相次いで人件費が上昇し、企業の経営を圧迫している。また、各地で起きた反日デモや不買運動は、中国との政治的な対立がビジネスにもリスクとなることを印象づけた。さらに、消費者物価指数が5%を超えるほどインフレ傾向が続き、野菜の価格が2倍に跳ね上がるなど、市民生活を直撃している。不満の高まりは、新たなデモなどの社会不安を招きかねないと懸念されている。

 不動産価格の急騰も依然続いている。中国では「男性は不動産を持っていることが結婚の条件」という考え方が一般的なだけに、今の不動産の高騰ぶりでは結婚もあやうい状況だという。

 不安要素を抱える中国経済だが、薗田部長は「広大な国土、膨大な人口を背景に、経済強国の確立に向けて動く」と話し、それでもその勢いは続くと見ている。

 日本を抜いて世界第2位の経済大国になるのが確実視されている中国。中国政府は、インフレなど不安要素を抑えつつ、高い成長率を維持するという難局に引き続き直面することになる。