米大統領一般教書演説、野党に協力呼びかけ
就任3年目を迎えたアメリカ・オバマ大統領が25日、今年の内政や外交の方針を示す一般教書演説を行った。依然として高い失業率が続いていることから、演説の大半は雇用・景気対策に費やされた。オバマ大統領にとって2回目となる一般教書演説だが、中間選挙で野党の共和党が大勝したことを受け、去年から雰囲気は一変し、共和党に協力を呼びかけた。
日本時間26日午前11時過ぎから始まった演説は、約1時間に及んだ。新たに今年就任した共和党・ベイナー下院議長を前に、オバマ大統領は「民主党と共和党が協力して、初めて新しい法案が通過できる。我々は共に前進するか、しないか、どちらかしかない。我々が直面する挑戦は、政党や政治よりも大きいのだ」と述べ、冒頭から共和党に協力を呼びかけた。
依然として高い失業率が続いていることから、オバマ大統領は演説の大半を雇用・景気対策に費やした。雇用創出に向けて、全米の高速鉄道整備など公共投資を推進する他、各国とのFTA(=自由貿易協定)締結を進め、14年までに輸出を倍増させる方針をあらためて強調した。
また、課題となっている財政赤字の削減に向け、安全保障費や年金を除く政府の歳出を、今後5年間は維持する考えを示した。
今回の一般教書演説で強調されたのが「国際的な競争力」だった。オバマ大統領は、中国とインドが金融危機から立ち直り、「この新しい世界で競争していく力がある」と警戒感を示し、アメリカ企業の競争力強化のため法人税率を引き下げる方針を明らかにした。
内政問題に演説の大半を費やしたことから、外交・安全保障に割かれた時間はわずかだったが、核の不拡散を目指す考えをあらためて強調し、韓国と連携して、北朝鮮に対し、核計画の放棄を迫る考えを示した。
就任3年目となり、任期の折り返し地点を迎えたオバマ大統領だが、今回示した方針をこの一年で、どれくらい実現できるかが、約2年後の大統領選挙で再選できるかどうかの鍵を握ることになる。