支持派と反対派が衝突、米政府は厳しく非難
アメリカ政府は、エジプトでムバラク大統領を支持するグループが反政府デモ隊と激しく衝突したことを厳しく非難している。
クリントン国務長官は2日、エジプト・スレイマン副大統領に急きょ電話をし、今回の衝突を非難するとともに、死傷者が出た原因を究明するよう求めた。
クローリー国務次官補が「(エジプト政府には)もっと早く、もっとしなければならないことがある。それは、クリントン長官もスレイマン副大統領に伝えた」と述べるなど、アメリカ政府は混乱拡大にいらだちを募らせている。
一方で、アメリカ政府には早期退陣を強く迫れない事情もある。国務省でエジプト問題を担当していたジョエル・ルービン氏は「ムバラク(大統領)に早期退陣を迫れば、アメリカが新政権を作ったように見えてしまう。オバマ大統領は早期退陣を望みつつも、一線を越えることはしない」と話している。
アメリカが無理やり介入したという印象を与えれば、アラブ地域で反米感情が高まるおそれがある。また、民主化を求める勢力の組織化が進んでいない今の段階で選挙を行えば、イスラム原理主義の台頭につながるとの懸念も広がっている。
情勢の安定に向けて有効な手立てが打ち出せない中、政権内からは「この状況はすでにエジプト政府の手に負えるものではなくなっている」との声も上がり始めている。