中国で全人代開幕 温首相、格差是正を強調
中国の国会にあたる全人代(=全国人民代表大会)が5日午前、開幕した。温家宝首相は演説で、世界第2位の経済大国となった中国が抱える深刻な問題点を率直に認め、深刻化する格差の是正に取り組む姿勢を強調した。
温首相は演説の中で「一部大衆が強く不満を抱く問題は、根本的には解決されていない。物価の上昇圧力は高まり、一部都市で住宅価格が高騰している」と述べた上で、貧困層を優遇するよう所得税制を改革するなど、深刻化する格差の是正に取り組む姿勢を強調した。また、物価の安定を今年の最優先課題に挙げ、市場への規制強化や低所得者向けの住宅の供給を増やすことで、国民の不満が高い不動産バブルを抑え込むと訴えた。
その上で、景気の過熱を抑えるため、今後5年間の経済成長率の目標を年平均7%と低めに設定した。一方、国民の収入の伸びは年平均7%以上にするという具体的な方針を明示した。
全人代が開幕した北京では、6日も中東に倣った民主化要求のデモの呼びかけがあることから、例年以上の警備体制が敷かれている。庶民の不満の高まりが政権批判へとつながることを恐れる中国政府の危機感がうかがえる。
厳戒態勢の中で開かれた全人代で、政府が打ち出した国民生活を重視する姿勢が不満解消につながるのか注目される。