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スターバックスの“心臓部”を取材

2011年4月6日 16:35
スターバックスの“心臓部”を取材

 アメリカの大手コーヒー・チェーン「スターバックス」は、今年、創業40周年を迎えた。めったにメディア公開されない、その“心臓部”をニューヨーク支局・正田千瑞子記者が取材した。

 アメリカ北西部の都市・シアトル。ここは、スターバックス発祥の地だ。40年前に創業した1号店は、観光名所としてにぎわっている。スターバックスは、この小さな店からスタートし、2011年1月現在、いまや世界54か国に1万7000店舗を構えている。この急成長の秘密はどこにあるのか?巨大な人魚の顔がデザインされた本社ビルを訪ねた。

 スターバックスの本社ビル内には、オフィスの中などを含め、社内のいたるところにカフェが設けられている。さらに、そのコーヒーは社内にある37のキッチンで飲み放題になっている。女性社員は、「毎日3、4杯は飲んじゃうわね。コーヒーの話や、いまどんな仕事をしているのか、いまどんな面白いことが起きているかなどを話すの」と、語る。コーヒーに入れるシロップも多くの種類のものが用意されている。コーヒーを楽しみながら、ビジネスのアイデアを出し合える環境が整えられているのだ。

 さらに社内の奥に進むと、そこにあったのは、コーヒーのテイスティングルーム。世界中のスターバックスの味を決める心臓部だ。スタッフたちは、多くのカップが並べられた作業台の上で、次から次へとコーヒーをテイスティングしている。もちろんコーヒーの香りのチェックも欠かさない。

 味見をしているのは、コーヒー・スペシャリストと呼ばれる専門家。1日500杯から1000杯ものコーヒーを、次々と味見をして店に出す豆を決めるという。その方法は、まず、コーヒーをスプーンでかき混ぜることで、その匂いをかぎ分け、そして、口に含んで味見を行う。実際にテイスティングを体験させてもらうと、柔らかい香りや、クリーミーな香り、味の深みなどを実感できた。コーヒーへの強いこだわりと鋭い味覚が必要な仕事だ。

 次に“特別”に案内されたのは、世界中の豆を焙煎(ばいせん)する工場。コーヒーの香りが、あたり一面に立ちこめている。ここでは、厳しい温度や湿度管理の下、24時間体制で焙煎を行っているという。さらに先へ進もうとすると、担当者に「これ以上先はダメだよ」と断られた。その奥にあったのは世界中から集められたコーヒー豆が入った袋の山。輸入元は企業秘密で明かすことができないため、近づいて撮影することはできないという。

 最後に、スターバックスのカリスマ経営者に、今後の戦略を聞いた。ハワード・シュルツCEO(=最高経営責任者)は、次の10年の戦略について「スターバックスを20章から成り立つ小説に例えるならば、今の私たちはまだ第4、5章あたり。今から数年以内にはこれまで以上に活溌な動きがあると思う。特に、海外展開が伸びを見せ、15年目を迎える日本でも、市場拡大の可能性はまだまだあると思っている」と、語る。また、スターバックスのロゴが刷新され、STARBUCKS COFFEE(スターバックス・コーヒー)の文字が取り去られたデザインになったことに関しては、「今後、スーパーなどでコーヒーの枠にとらわれない様々な商品を展開するためです」と、説明してくれた。

 創業40周年の節目を迎え、日本で起こった東日本大震災に対しても、アメリカの本社とともに被災者に対して1億円の寄付を打ち出したスターバックス。一部の地域では店舗の数が飽和状態になる中、新たな成長戦略が求められている。