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タイの首相候補 タクシン元首相の妹に勢い

2011年6月12日 13:44

 日本人カメラマンを含む多数の犠牲者を出した政治騒乱から約1年がたったタイでは、来月に総選挙が行われる。騒乱を引き起こしたタクシン元首相派は実の妹を首相候補に立てて勢いづき、政権を奪い返す可能性が出ている。

 タクシン元首相派の地盤、タイ東北部・ナコンパノムは先週、汚職の罪で有罪判決を受けながら海外逃亡を続けるタクシン元首相の妹、インラック・シナワトラ氏(43)の登場に沸き返った。初の女性首相候補としてタクシン派の政党が擁立、華やかさを売りに支持を拡大している。

 タイでは、06年に当時のタクシン首相がクーデターで追放されて以降、タクシン派・反タクシン派による深刻な対立が起きている。

 インラック氏「和解から始めます。全てのグループ、全ての人々と話し合いを始めなくてはなりません」

 タクシン元首相のファミリー企業の経営者だったインラック氏は、これまで政治経験はなく、「タクシン元首相の『操り人形』になるのでは」との見方が根強くある。

 数万人が詰めかけた演説会場で、支持者たちはインラック氏を熱狂的に迎えた。「私たち、タクシンファミリーが今あるのは、あなたがたのおかげです」と台本通りの発言に終始するインラック氏は、緊張からか表情も硬く、まだ不慣れな様子をうかがわせた。

 対する与党・民主党も若きエリート、アピシット現首相(46)を前面に立てた選挙戦を展開。経験の差をアピールしたい構えだ。

 最新の世論調査では、インラック氏のタイ貢献党の支持率は43.16%で、アピシット現首相率いる民主党の支持率(37.45%)を上回っている。

 選挙後、与党が政権を維持すれば再びタクシン派によるデモが起きる可能性がある一方、タクシン派政権となれば軍がクーデターに踏み切るとのうわさも流れている。どちらが勝っても混乱が予想されるタイの総選挙は、来月3日に投票が行われる。