南シナ海問題 中国と米国との溝が埋まらず
東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本やアメリカ、中国などが加わり、安全保障について話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)が23日、インドネシア・バリ島で開かれた。中国とASEANの一部が島の領有権をめぐって対立している焦点の南シナ海問題では、中国とアメリカなどとの溝が埋まらなかった。
南シナ海では、中国の艦船が周辺国と摩擦を引き起こしていて、この問題を多くの国の間で話すことで包囲網を形成したいASEAN側と、特にアメリカの関与を警戒する中国との間でせめぎ合いが続いている。会議でアメリカ・クリントン国務長官は、「国際法に従って関係国が話し合うべきだ」と、多国間での解決を主張した。これに対し、中国・楊潔チ外相は「当事国が友好国との協議を通じて解決すべきだ」と述べた。
会議前にはASEANと問題解決の指針を作り、柔軟な姿勢をアピールした中国だが、基本的な部分については従来と全く変わらず外交筋は強い抵抗があったことをにおわせた。時間がたってから発表された議長声明には「南シナ海の平和の問題は法的拘束力を持つルール作りに向かう必要がある」と記されたが、中国側はあくまでも「条件が整えば」としている。
話し合いの輪に引き込もうとしたアメリカなどと中国との溝は、今回の議論を通じても埋まらなかった。南シナ海問題の火種はくすぶったままといえそうだ。
★楊潔チの「チ」は竹かんむりの下にがんだれと「虎」