「対テロ戦争」が米国にもたらしたもの
01年に起きたアメリカ同時多発テロを受け、アメリカ政府は対テロ戦争に踏み切った。しかし、10年たった今も戦闘は続いており、アメリカ政府と社会に影を落としている。ワシントン支局・青山和弘記者が報告する。
今年5月に国際テロ組織「アルカイダ」のウサマ・ビンラディン容疑者を殺害し、転換期を迎えた対テロ戦争だが、イラクとアフガニスタンには13万人以上のアメリカ兵が駐留し、泥沼の戦闘は現在も続いている。これまでに6200人を超えるアメリカ兵が命を落としていて、アフガニスタンでは先月、一か月の死者が81人と開戦以来最悪を記録した。
また、アメリカ政府はこれまでに、対テロ戦争に約1兆3000億ドル(100兆円以上)を費やした。これは、経済危機からの脱却の足かせとなっていて、オバマ大統領を苦しめている巨額の財政赤字の大きな要因となっている。
アメリカの安全のために他国のテロの根源を軍事力で倒すという対テロ戦争は、払った大きな代償に見合うものだったのか。答えは依然見えないままだ。