政府対策本部が被災、移転 警戒続く タイ
洪水に襲われているタイの首都・バンコクでは、政府の洪水対策本部が被災し、移転を余儀なくされる事態となっている。
バンコク北部にあるドンムアン空港では、滑走路や駐機場が完全に水につかってしまった。滑走路のそばにある建物には政府の洪水対策本部が設置されていたが、空港の浸水が進み、電気や水道の供給に問題が起きたため、29日、約10キロ南の政府の建物に移転した。これまで、有効な手を打てずに被害を拡大させてきた、政府の不手際を象徴するような失態だ。
インラック首相は29日、「来週には落ち着き、これまで通りの日常が戻ってくることを祈っています。水が引けば、すぐに“ほほ笑みの国”に戻るでしょう」と述べ、楽天的ともとれる見通しを示している。しかし、洪水対策の本丸すら守れなかったことで、国民からの信頼が低下する可能性は否定できない。
また、洪水拡大のおそれもある。大潮のピークとみられる29日は、中心部の王宮付近などで朝の満潮時に人の膝の高さまで水が流れ込んだ。水の大半は一旦引いたが、日本時間29日午後8時半には再び満潮を迎えるため、厳重な警戒が続いている。