ギリシャ情勢急展開 G20にも影響
財政危機に揺れるギリシャのパパンドレウ首相は2日、フランス、ドイツの首脳とフランス・カンヌで会談し、両首脳はEU(=欧州連合)がまとめた救済策を速やかに受け入れるよう迫った。しかし、パパンドレウ首相はあらためて、救済策受け入れの是非を問う国民投票を行う考えを示した。今回の混乱で、各国の首脳には驚きが広がっている。野尻仁記者が報告する。
カンヌでは3日、先進国に新興国を加えた20の国と地域が世界経済などについて話し合うG20サミット(=首脳会議)が開幕した。今回のサミットは、EUが先月末に徹夜の会議を行ってようやくまとめた「包括的な対策」を各国に説明し、了解を得るという、いわばセレモニーの場となるはずだった。
ところが、ギリシャが国民投票の実施を決めたことで、この話が根底からひっくり返されたような状態となった。アメリカ・オバマ大統領は3日朝の会見で「EUは問題の解決に向けて進歩している」と評価している。しかし、各国の首脳としては「せっかくこうして集まったのに、なぜこんなことになったのか、理解できない」「我々は何のために集まったのか」というのが本音と思われる。
今回のG20では、ヨーロッパの金融危機を解決することが最大のテーマとなっている。EUは新興国にも支援を求める方針で、日本もヨーロッパ金融安定化基金が発行する債券の購入などで協力を表明するとみられる。先進国と新興国は意見が対立するテーマが多いものの、世界的な経済危機を防ぐため、結束していくことをアピールするとみられる。
しかし、ギリシャ情勢が急展開したことで、今後はギリシャ国民の判断に委ねられることになった。各国の首脳は、パパンドレウ首相の信任投票や国民投票の行方を見守るしかないのが現実となっている。