ミャンマー「民主化」は? 記者が報告
アメリカ外交のトップとして56年ぶりにミャンマーを訪問したクリントン国務長官が2日、民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさんの自宅を訪れ、ミャンマー情勢について意見交換した。首都・ヤンゴンで取材にあたった山下雄三記者が報告する。
東南アジアで最も取材規制が厳しいミャンマーだが、この数か月、国外のメディアに対し、取材ビザを発給し、受け入れている。記者もこの3か月間で2度目のミャンマー入りとなった。しかも、今回は、かつて政権が最も神経質になっていたスー・チーさんの自宅にまで入ることができ、これまでとは風向きが変わっていることを感じる。
ミャンマーの民主化への思いは、政権とスー・チーさん側とで一致していない。政権にとって「民主化」は、制裁の解除のための手段となっている。著しい経済成長を続ける東南アジアにあって、ミャンマーは蚊帳の外に置かれ、取り残されている。危機感を抱いた政権は制裁の解除を狙って、民主化運動のシンボルであるスー・チーさんとの協力姿勢を打ち出し、少しずつ「改革」を進めている。一方のスー・チーさん側は、「改革」を進める政権の姿勢を見定めつつ、政治に参加することで民主化を進める方向にかじを切った。
政権側の「制裁解除につながる最低ライン」と、スー・チーさんたちが求める「完全な民主化」がせめぎあっている状態で、政権側が何をどこまで認めるのかが最大の焦点となっている。