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国際
2012年2月11日 21:35

政権崩壊から1年 エジプトの現状は…

 中東の民主化運動「アラブの春」は2年目を迎えたが、その流れが波及したシリアでは、政府軍による反体制派への激しい攻撃が続いている。中部・ホムスでは、反体制派の拠点への砲撃でこの1週間で400人以上が死亡したと報じられるなど、混乱が深まっている。一方、去年2月11日に当時のムバラク政権が崩壊したエジプトでも、デモや衝突が相次ぐなど不安定な状況が続いている。エジプトの現状を富田徹記者が取材した。

 エジプトの首都・カイロでは、治安当局とデモ隊のにらみ合いが続いている。1年前、民主化の聖地となった広場の周辺は再び催涙ガスの臭いが漂い始めている。また、先週、サッカー場の暴動に端を発した抗議デモが激化した。

 治安悪化への不安は経済にも大きな影を落としている。最大の観光地・ルクソールでは、外国人の姿はまばらだった。観光ガイドは「政変の前は、この季節だと市内のホテル(の部屋)は60~80%が(観光客で)埋まっていた。今は大体30~35%だろう」と話している。

 観光業には新たな打撃になりかねない変化も起きていた。何軒かの店が最近、酒を出さなくなったという。背景には、先の議会選挙でイスラム系政党が躍進するなど、エジプト社会が保守化しているという事情がある。酒を飲むなどイスラム教でタブーとされる行為への社会の目が厳しくなり、その教えを厳しく実践するよう求める一部の声に配慮しているのだ。

 治安悪化や、イスラム教の教えを徹底するよう求める声の高まりなどで、社会が動揺し始めている。

 大統領選挙に立候補を表明し、次の大統領に最も近いとされるアムル・ムーサ氏に話を聞いた。

 ムーサ氏「(Qイスラム勢力とうまく交渉できるのか?)もちろん、できる。イスラム勢力は、エジプト政治の一部だ。大事なことは、いろいろな勢力が互いにどうやって調整するか、そして、特定の勢力を排除することなく、政治を進めていくことだ」

 ムーサ氏は中立的な立場を示しているが、ムバラク政権時代に外相を務めたことから旧政権側の人物と批判する声も少なくない。

 政権の崩壊から1年たって浮かび上がってきた多くの課題を克服できるのか。6月末までに行われる大統領選挙で選ばれた新たなリーダーが、その課題に取り組むことになる。