英ロンドンの「海洋プラごみのオブジェ」に東日本大震災の津波で流された可能性のある漁港の備品が…指摘相次ぎアーティスト側が“釈明”
イギリス・ロンドンで展示されている海洋プラスチックごみから作られたクジラのオブジェをめぐり、東日本大震災の津波によって、東北沿岸部の漁港などから流された可能性があるものが含まれているとの指摘が相次いでいて、14日、アーティスト側が「海にあるプラスチックの全てが意図して捨てられたものではない」などと釈明しました。
先週からロンドン東部のビル街カナリーワーフに設置されたのは、巨大なクジラのオブジェです。
オブジェは、アメリカのアーティストによって作られていて、ハワイの海岸などに流れ着いた海洋プラスチックごみから作ることで、プラスチックの使用について警鐘を鳴らす目的で制作されたということです。
オブジェが公開されて以降、SNSなどを中心に、オブジェの中に東日本大震災の津波によって、東北沿岸の漁港などから流された可能性があるものが含まれているとの指摘が相次ぎました。実際に、オブジェの中には、「石巻魚市場」や「久慈港」などと書かれたプラスチック製の備品などが使われています。
これを受けて、カナリーワーフの公式SNSは、「オブジェの中のいくつかのものは、悲惨な出来事の影響を受けた東北地方の魚市場や港から運ばれたものであることが確認されている」とした上で、「これらをごみとして分類してしまい、不快な思いをさせてしまったことをお詫びする」と、謝罪のコメントを投稿しました。その上で、14日、オブジェを制作したアーティスト側の説明も投稿しました。
それによりますと、アーティスト側は、「海にある1億5000万トンのプラスチックの全てが意図して捨てられたものではない。 私たちが発見したプラスチックの中には、15年近く前に日本を襲った津波によって、海に流されたプラスチック製のゴミ箱や、かごがあった可能性がある」と釈明しました。
その上で、「地球温暖化や自然災害などは、ますます私たちの都市に影響を及ぼしていて、人間や海洋生物に計り知れない被害をもたらしている。私たちがプラスチックをどのように使っているかを意識して、地球を守るために協力する必要がある」と述べています。
イギリス北部のスコットランドに住む日本人留学生は、SNS上で話題となっていることを受けてオブジェを見に来ていて、NNNの取材に対し、「東北の美大に通っていた時に東日本大震災が起き、友人の実家などが半壊になったのを覚えていて、この件が気になって見に来た。震災の文脈を知らない人が気づいたり理解するのは難しいとは思うが、この件をきっかけに、そういう側面があるということを多くの人に気づいてもらえると嬉しい」と思いを語りました。