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「NYの玄関口」ニューアーク空港で大混乱…遅延・欠航相次ぐ背景に“管制の危機”

2025年5月6日 7:20
「NYの玄関口」ニューアーク空港で大混乱…遅延・欠航相次ぐ背景に“管制の危機”
ニューアーク空港で欠航・遅延相次ぐ

アメリカ・ニューヨークの玄関口となる空港の一つで、東京からも直行便もある「ニューアーク空港」で遅延や欠航が相次いでいて、夏の旅行シーズンまで問題は長引く見通しだという。
(NNNニューヨーク支局長・気象予報士 末岡寛雄)

■慢性的に混雑する“ニューヨーク都市圏の空域”

アメリカの最大都市ニューヨークには3つの空港がある。日本航空・全日空が羽田から直行便を飛ばすジョン・F・ケネディ空港、主に国内線とカナダ便が発着するラガーディア空港、そしてマンハッタンからハドソン川を越えたニュージャージー州にあるニューアーク空港だ。

羽田と成田の距離は約60キロ離れているのに対し、ニューヨークの3空港は半径およそ17キロ圏内に密集している。航空大国アメリカでは機内の通路が1本だけのナローボディ機がひっきりなしに発着していて、世界的にも有数の混雑ぶりを見せている。この中でもニューアーク空港は、ユナイテッド航空のハブ空港として成田・羽田からの直行便が運航されている。

そのニューアーク空港で4月末から混乱が始まった。航空便の欠航や遅延が相次いでいるのだ。異変を最初に覚知したのは4月28日の午後。ニューアーク空港へ着陸予定だった飛行機が、ボルチモア・ワシントンなどで次々と目的地を変更しはじめたのだ。この週末だけで欠航や遅延は数百便以上にのぼり、今も混乱が続いている。一体、何が起きているのか。

■管制システムが90秒間“ブラックアウト”…何が起きた?

地元紙「ニューヨーク・ポスト」は関係者の話として、この日、管制システムをつなぐ銅線が1本焼けたことで、航空機とのレーダー通信が90秒にわたって途絶えたと報じた。全米の航空管制官で構成される労働組合はNNNの取材に対し、「管制官が一時、レーダー上で航空機を確認できず、通信も不可能な状態になった」と認めた。さらに、このアクシデントで管制官が心的外傷を受けたため、法律に基づいて休暇を取得しているという。

FAA=アメリカ連邦航空局は、管制官の人員不足に加え、空域を管理するフィラデルフィアの管制センターで機器の不具合が続いていると説明している。ニューアーク空港発着便の約75%を占めるユナイテッド航空のCEOは5月2日に声明を発表。「管制官の2割以上が離職したため、技術的な問題が深刻化した」と述べ、今後、数週間から数か月にわたって影響が続く見通しを示した。その上で今後、一日70便のフライトを欠航すると発表した。

加えて、ニューアーク空港の3本の滑走路のうち1本は工事のために閉鎖中で、この混乱が夏の旅行シーズンに影響を及ぼすことは必至だ。

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■航空事故相次ぐアメリカ…「旧式システム」と「人員不足」に警鐘