中国系住民が急増するアメリカ・カナダの街

先週、イギリスを訪問し巨額の投資を発表した中国の習近平国家主席。中国マネーが世界に広がるなか“人”も各地に押し寄せている。中国系の住民が急増する街を取材した。
【世界に広がる中国マネー】
先週、国賓としてイギリスを公式訪問した習主席。
習近平国家主席「両国はますます相互依存を強め、利益を共有する共同体となっている」
原子力発電所や天然ガスへの中国企業による投資など、経済の幅広い分野で関係を強化し、最大で7兆円を超える取り引きを行っていくことで合意した。
【アメリカに移住した孟さん一家】
先月、習主席が公式訪問したアメリカでも、中国人による不動産投資が進んでいる。アメリカで住宅を購入する外国人のうち約3割が中国人だ。孟さん一家は、一人息子のより良い教育環境を求め、去年7月、北京から移住、ロサンゼルス郊外のアーバインに1億4000万円の新築を購入した。
孟さん一家の一人息子・ジョーダンさん「夢は難しいですけど、プロのバスケットチームに入ることです」
孟さん一家は、アメリカ国内で50万ドル以上の投資をするなどの条件を満たせば、永住権を取得できるという「投資移民ビザ」制度を利用し移住した。今や申請する人の85%は中国人だという。
【人口の約半分を中国系が占めるカナダの街】
一方、隣国のカナダでは、中国系住民の移住がさらに増加している。大都市バンクーバーに隣接するリッチモンド。朝のショッピングモールでは、中国系住民らが太極拳を楽しんでいた。街には中国の食材を専門に取り扱うスーパーもあり、中国系住民も不便がないという。
西安から移住した女性「ここは便利です。小さな街で、空気もきれいなので安心です。生活を楽しんでいます」
人口減少を食い止めるため90年代以降、移民を積極的に受け入れてきたカナダ。リッチモンドの場合、いまでは人口の約半分を中国系が占めるまでになった。
リッチモンド市長「世界中からの移民を歓迎します。街にとって利益になります」
【中国語の看板…たまるフラストレーション】
しかし中国系住民が増えすぎたことで問題も生じている。市内で目についたのが中国語の看板。
田口記者「多くの人が利用する公共の場所であるバス停でも、中国語表記が中心の看板が設置されています」
リッチモンド市民「時々、何の宣伝なのか分からないことがあって、フラストレーションがたまるわ」
4世代にわたってこの街に暮らすスターチャックさん。
スターチャックさん「近所の人は、ほとんど中国系になりました。みんな中国語で話すので会話ができません」
スターチャックさんも、中国語で書かれた看板が急速に増え、何が書かれているのか分からないことに支障を感じると話す。自宅に投函される広告も、中国語のものが増えたという。スターチャックさんは、中国語の看板や広告に英語の表記も併記することを定める条例をつくるよう市に働きかけた。しかし、企業や個人の広告を市が規制するべきではないとの理由で今年5月、訴えは却下された。
スターチャックさん「ここは私のふるさとで、私は移民ではありません。この動きをなんとか止めたいんです」
リッチモンド以外でも中国系住民は増加しており、白人系の住民が引っ越してしまうなどの問題も起きている。カナダでは、投資移民ビザの最低投資額を引き上げたり、英語かフランス語を話せることを求めるなど条件を厳格化した。
アメリカやカナダで増える中国系住民。元から住む住民とどのように共生していくのかも今後の大きな課題となりそうだ。