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2016年3月25日 16:50

「原油は…」北朝鮮制裁で揺れる中国の思惑

「原油は…」北朝鮮制裁で揺れる中国の思惑
(c)NNN

 核実験など挑発行為を続ける北朝鮮に対して、国連の安全保障理事会は、これまでにない厳しい制裁決議を採択した。しかし、この決議の実効性のカギを握る中国は、隣国の混乱を回避したいという思惑で揺れている。

■制裁決議の影響は―

 北朝鮮との国境の町、中国・遼寧省の丹東。この中朝貿易の7割が通過する物流の一大拠点も決議の影響を受けるとみられる。

 鉱物資源輸入業者「(Q:安保理の制裁採択は聞いている?)聞きました」「(Q:心配なことは?)少し心配。自分の生活に影響するか心配です」

 決議は、北朝鮮に出入りするすべての貨物検査の義務化や、北朝鮮の石炭など鉱物資源輸入の禁止ほか、北朝鮮船舶の交易を禁じるなど、かつてない厳しい内容だ。

 制裁決議が採択される日、丹東近くの沖合に北朝鮮の貨物船が1隻、ポツンと不自然な形で停泊していた。関連性はわからないが、丹東港が北朝鮮の船舶の入港を禁止したとの情報もあった。

 また、決議が採択された後の9日には、香港政府が、制裁対象に入っている北朝鮮の海運会社の船舶のうち1隻の入港を拒否した。制裁決議の履行に厳しい姿勢で臨む中国。一方で―

 中国外務省・洪報道官「中国側はこの決意が全面的に、真剣に実施されることを望むと同時に、北朝鮮市民の生活と、人道的な要求に影響を与えないようにすべきだ」

■制裁決議に「原油」を盛り込むか否か

 北朝鮮の市民への配慮を強調する中国。制裁決議の内容にどんな影響を与えたのだろうか。制裁決議に盛り込まれるかどうか注目されたのは、原油の輸出禁止。北朝鮮は、原油のほとんどを中国からの輸入に頼っているとされている。

 丹東よりもさらに北に位置する黒竜江省の大慶油田。ここから原油は鉄道などで運ばれ、備蓄タンクに入れられる。そして原油は、パイプラインを通って中朝国境を流れる川を越え、北朝鮮側へと送られる。実は、中国税関によると、2013年まであった北朝鮮への原油の輸出は2014年以降、統計上は、止まっていることになっている。しかし、専門家は、統計の公表をやめただけで、中国からの原油は止まっていないと指摘している。

 中国社会科学院研究員・朴氏「70年代からの北朝鮮への原油提供は、止めたことがない。中朝協力で原油は最も重要な項目なのです」

 制裁決議の内容を決める過程で、アメリカは、北朝鮮へのダメージが大きい原油の輸出禁止を中国に受け入れるよう求めたものとみられている。しかし、最終的には、制裁決議に盛り込まれなかった。なぜなのだろうか?

■原油は“赤ちゃんにとっての乳”

 朴氏「隣接する国の一方に原油があり、もう一方にはない場合、関係が悪くても、道義的に原油の協力をやめるわけにはいかない。赤ちゃんに乳を止めるのと同様、原油を止めると国が死んでしまう」

 過剰に厳しい制裁で北朝鮮を追い込んで、隣国で混乱や崩壊が起きるのを避けたい中国。こうした思惑から中国は、原油の輸出禁止を決議に入れることまでは、受け入れなかったものとみられる。

 制裁決議の実効性のカギを握る中国は、今、北朝鮮への厳しい姿勢と混乱を回避したい思惑との間で揺れている。