英国“EU離脱派”勝利 背景に移民政策
EU(=ヨーロッパ連合)からの離脱の賛否を問うイギリスの国民投票で、離脱派が勝利した。イギリス国民が選択した“EUからの離脱“。その背景には、なにがあったのか。専門家はEUの“ある政策”に対する大きな不満があったと指摘する。それは、EUの移民政策だ。
■東ヨーロッパからの移民
28か国が加盟するEUでは、政策として“労働者の移動の自由”が認められている。そのため、比較的貧しい東ヨーロッパの加盟国から職を求めて多くの移民がイギリスに渡っている。
イギリス国民の間では、移民に職や住居を奪われるのではという危機感が広がっていたという。
■シリアなどからの難民
さらに、内戦状態が続くシリアなどから、難民がEUに向かった。この“難民危機”も離脱派に勢いをつけたという。
専門家は、「一度EUに入った難民は移動の自由が認められるということで、いずれイギリスに押し寄せてくるのではないか、そういった不安をイギリス国民は覚えて、今回、離脱という投票に至った」と話す。
■EUの予算“無駄遣い”
また、EUの予算の無駄遣いに対する厳しい目もあった。EU離脱派が制作したビデオは、EU職員の手当の多さをこう皮肉る。
『もしあなたがEU職員であれば、引っ越し補助、住居補助、家族手当、娯楽手当、医療手当、教育手当をもらえます。医療手当では、バイアグラが無料でもらえます』
イギリスは去年、EUへの負担金として、日本円で約2兆8000億円を拠出している。離脱派はこうした金を、ほかの政策に回すことができると主張していた。
EU誕生以来、数々の国が加盟してきたが、離脱するのはイギリスが初めて。EU離脱派のファラージ党首は、開票が進み勝利を確信すると、「我々の歴史的な独立記念日だ」と喜びを表現した。