北朝鮮の“瀬取り”、警戒監視の部隊に密着
東シナ海で北朝鮮の船による違法な物資の積み替え行為、いわゆる「瀬取り」が相次いでいるとされている。海上で警戒監視を続ける海上自衛隊の部隊に密着した。
■北朝鮮が制裁逃れのために
鹿児島県鹿屋市にある海上自衛隊の鹿屋航空基地。ズラリと並んでいるのはP3C哨戒機だ。東シナ海など、日本周辺の海域で警戒監視を続ける第1航空群の隊員らが、不審な船がないか目を光らせている。
いま日本の周辺海域では、北朝鮮によるとみられる“ある行為”の横行が指摘されている。先月、東シナ海で撮影された写真には、2隻の船が接舷するようすが捉えられている。
これは別の船から沖合で貨物を積み替える「瀬取り」とみられる行為。去年、北朝鮮が核実験を行ったことに対する制裁で、北朝鮮の船と別の船との間でモノを移し替える行為を禁止する国連安保理決議に違反する行為だ。北朝鮮はこの「瀬取り」を制裁逃れのために繰り返し行っていると指摘されている。
これまで日本政府が発表した東シナ海での北朝鮮による「瀬取り」が疑われる行為は4回。その4回すべてを発見した第1航空群に密着した。
■P3C哨戒機が離陸
「じゃあ、かかれ!」――まだ薄暗い中、フライトに向けての点検。念入りに機器などをチェックし、着々と準備を進める。
海上自衛隊・吉留2佐「年間365日、昼も夜もずっと日本のまわりの海域をどういう状態になっているかを我々が把握していて、少しでも違うところがあったらそこに集中して」
号令をかけ、いよいよ離陸。管制塔と交信し、P3Cが離陸した。この日、北朝鮮の「瀬取り」が確認されたという発表はなかった。
吉留2佐「地道にひとつひとつ見る、そして判断するというところ」「すべて目で見て、確認すると、それしかないですね」「やはり東シナ海は、非常に緊張している海域ですので、常に気を引き締めて」
■「国防上、極めて重要な地域」
24時間365日、日本の周辺海域の警戒監視を続けている海上自衛隊。鹿屋基地では、いざという時、救難を担当する隊員や、機体の整備を担当する隊員、救命具を整備する隊員など、全ての隊員で警戒監視の任務を支えている。
海上自衛隊・中村海将補「東シナ海を含めて、わが国周辺海域は、国防上非常に重要な領域だと思っていて、そういった観点をしっかりと持ったうえで、日々の警戒監視や情報収集にあたっている」
制裁が続く限り、今後も行われるとみられる北朝鮮による「瀬取り」。厳しい監視の目が向けられている。