“武装教師”も始動…相次ぐ銃撃に揺れる米
今年2月、アメリカ・フロリダ州の高校で銃乱射事件で17人が死亡した。また、今月3日には、カリフォルニア州の動画共有サイト大手「ユーチューブ」の本社で銃撃事件があり4人がケガ。容疑者の女は死亡した。
こうした銃の事件は後をたたない。アメリカでは、学校での乱射事件もくり返される中、子どもたちを守るために教師が武装する動きが見え始めている。
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アメリカ・フロリダ州の高校。新学期を迎え、生徒たちが登校している。しかし、学生たちは透明のバッグをもって登校している。なぜ「透明のバッグ」なのだろうか。
実は、この高校では2月、19歳の元生徒が校内で銃を乱射、17人が犠牲になった。事件を受け、学校は生徒の持ち物が見える「透明のバッグ」を使うよう義務づけた。しかし、生徒からは不満の声も。
生徒「気分が悪いわ。私たちは何もしていないのに」
高校での事件をきっかけに、アメリカで「銃規制」の議論がかつてないほど高まっている。中でも、今回の事件で使われたあるライフル銃の販売を禁止すべきとの声があがっている。
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その銃を見てみると…
銃部品を製造・販売する、デイビッド・ベイティ氏「元々は軍事用の軽量ライフルとして開発されましたが、ここ10年でアメリカで最も人気のあるライフルになりました」
その銃は「ARー15」というもので、価格は平均で10万円。多くの州で簡単に購入できる。威力を射撃場で見せてもらうと、弾が5センチほどのコンクリートを貫通する威力がある。
さらに問題となっているのは「バンプストック」と呼ばれる、装置をつけると誰でも簡単に連射できる点。本当に簡単に扱えるのか。この装置や銃の使用が法律で認められているアリゾナ州で記者が専門家の指導のもと検証した。
記者「すごい衝撃ですが、教えてもらった通りにやったら連射はそれほど難しくはなかったですね」
ライフル「AR-15」は「バンプストック」を装着するだけで1秒間に約10発も連射できるため、乱射事件につながると問題視されている。
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しかし、トランプ大統領は「バンプストック」については禁止を決めたが、殺傷能力の高い銃そのものの規制には慎重な姿勢。そして、学校での対策としては銃を持つ教師、“武装教師”を増やせばいいとの考えを示した。
トランプ大統領「銃に熟練した教師がいれば、事件が起きてもすぐに解決できる」
“武装教師”とはどういったものなのだろうか。取り組みを始めている学校を訪ねた。
“武装教師”ジョン・シュー教育長「この学校には40丁の銃が配置されています。(“武装教師”が)どの場所でも数秒以内に銃撃犯に立ち向かえます」
銃は厳重に保管されている。特別に、教育長の部屋で保管されているものを見せてもらった。
この高校には7人の“武装教師”がいる。銃撃犯が侵入した場合、“武装教師”は一番近い場所に保管された銃で対応する。さらに防弾チョッキも。警察の到着を待っていては遅すぎるという。
“武装教師”ジョン・シュー教育長「いかに早く行動を起こせるか、これが全て。学校で銃を増やすのではなく減らせという人に言いたい。『目を覚ませ。現実と向かい合うんだ』。銃を持った相手に、銃なしでどうやって立ち向かうんだ」
一方の生徒は…
生徒 ヘイリー・ニューさん(16)「銃を触りたくないし、近くに寄りたくもない。銃を持った誰かが守ってくれることで安心できる」
一方で、“武装教師”には反対の声もあがっている。
デモ参加者「銃を持つ人が増えたら、何の解決にもならない」
銃の恐怖から子どもたちをどう守るのか。相次ぐ事件をうけても効果的な対策は見えていない。