迫る返還期限「パンダのまち」に激震…日本で見納め?中国の思惑“パンダ外交”とは【バンキシャ!】
日本国内で飼育されるパンダのうち、6月に和歌山県の4頭が中国に返還され、東京・上野動物園の2頭も2026年2月に返還期限を迎えます。初めて上野にやって来てから50年あまり。日本からパンダがいなくなるのか。中国政府の思惑とは?【バンキシャ!】
◇
ゴールデンウイーク初日の26日。
バンキシャ!
「もう、お客さんがずらっと並んでいます」
開園と同時に、走り出す人たち。その先には──
バンキシャ!
「目の前にパンダがいます!カメラの目の前にはパンダが…えさ食べている。むしゃむしゃと食べています」
和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで飼育されている4頭のジャイアントパンダ。およそ2か月後の6月末ごろ、中国にすべて返還されることが発表された。
来園した子どもたち
「パンダさんいなくならないで!」
バンキシャ!
「聞こえているかな、パンダさんに…」
返還のニュースを知り、滋賀から駆けつけたという親子。
滋賀から来た パンダファン(40代)
「思い出も一緒になくなるみたいで悲しいです。泣かないでおこうって決めたのに…聞かれるから、しゃべっていたら泣けてきた」
“パンダのまち”として知られる白浜町。
バンキシャ!
「こちらパンダ駅(南紀白浜駅)と書かれています」
「レンタカーにもパンダがたくさんいます」
人口2万人ほどの町に、年間約295万人の観光客が訪れてきたのだが…
かまぼこ店
「白浜町がやばいんじゃないの、観光客がどうなるのか心配しています。自分たちもパンダの商品がたくさんあるので、どうなるのかなって」
タクシー運転手
「パンダのおかげで営業ができたものが、できなくなってくる」
町長も戸惑いを隠せない。
和歌山・白浜町 大江 康弘 町長
「パンダに我々は依存した観光の町だった。いなくなった後のことは、まだ私たちも想像できない」
現在、日本にいるパンダは6頭。和歌山の4頭は6月末ごろに中国に返還され、東京・上野動物園の2頭も、2026年2月が返還の期限となっている。
中国のパンダが初めて来てから50年あまり。日本で暮らすパンダが、いなくなるかもしれない事態に。
上野動物園がある東京都は、中国側と次のパンダに向けた話し合いを希望している。
和歌山県のアドベンチャーワールドも、「また来てもらえるように中国側に働きかけていく」としているが、新たなパンダが来る目途は立っていないという。
今後、中国とどう向き合っていけば良いのか。
バンキシャ!が話を聞いたのは、3年前まで和歌山県知事を務めた、仁坂吉伸さん。
2022年、パンダのふるさと中国・四川省と「友好都市」の関係を結ぶなど、長年にわたり中国とのパイプ作りをしてきた人物だ。
再び日本にパンダはやってくるのか?
元 和歌山県知事 仁坂 吉伸さん
「期待しているし、そうなるとは思うけど、日本側が決める話ではない」
──決めるのは?
仁坂さん
「基本的には中国の中央政府です。中国政府の意向を反映するだろう」
では、中国政府はこれまで、どんな意向で“パンダ外交”を進めてきたのか?
オーストラリアの場合、新型コロナウイルスの発生源をめぐって関係が悪化する中、パンダの貸し出しが決まった。関係改善をはかる意向があったとみられる。
アメリカの場合も。
中国 習近平 国家主席(2023年)
「パンダは中国とアメリカの友好の使者である。両国の人々の友好関係を深めていきたい」
中国への強硬な姿勢を和らげるためなのか、“パンダ外交”を展開。“パンダ”の力を借りて、関係の改善を狙ったのだろうか。
では、日本にリーリーとシンシンが来た、2011年当時の日中関係はどうだったのか。
NNN中国総局長 柳沢 高志 記者
「前回、パンダが日本に送られた2011年は当時、尖閣問題などで日中関係が悪化していたタイミングでした」
2010年9月、尖閣諸島沖で、中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突。日中関係が冷え切った中で、パンダが貸し出された。
今の日中関係において、中国がパンダを貸し出すとすれば、どんなタイミングが考えられるのか?
中国総局長 柳沢 高志 記者
「中国がアメリカとの貿易戦争を繰り広げる中で、日米が組んで、中国と対立するという事態を中国は警戒しています」
「今後もなんらかの交渉の中で、パンダを手土産として利用するということは十分考えられると思います」
*4月27日放送「真相報道バンキシャ!」より