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ロヒンギャ難民をどう救う?私たちにできることを考える【#きっかけ解説】

2025年2月18日 23:21
ロヒンギャ難民をどう救う?私たちにできることを考える【#きっかけ解説】

ニュースのその先を考える記者解説。18日のテーマは「ロヒンギャ難民をどう救う?私たちにできること」です。バングラデシュから、政治部・鈴木記者のリポートです。【#きっかけ解説】

(鈴木記者)
私はいま、バングラデシュの首都ダッカにいます。バングラデシュは南アジアに位置し、インドやミャンマーと国境を接しています。現在午前8時半なのですが、通勤ラッシュなのでしょうか、ものすごい数の車や自転車が行き交っています。バングラデシュは世界でも人口密度の高い国で、近年は経済成長も著しいのですが、そのエネルギーが感じられます。

実は、19日から難民キャンプを取材するためバングラデシュに来ています。
バングラデシュを悩ませる大きな問題、それは「世界最大の難民キャンプ」を抱えていることです。
バングラデシュ南部には、隣国ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民100万人以上が暮らしています。

(鈴木記者)
ロヒンギャとは、仏教国ミャンマーの少数派イスラム教徒です。
長年迫害を受け続け、特に近年はミャンマー国軍の激しい武力弾圧により、多くの人々が陸続きで同じイスラム教徒の多いバングラデシュに逃れました。
さらに、2021年にミャンマーでクーデターが起き、軍事政権が発足すると事態はより深刻になります。
ミャンマー軍と反体制派武装勢力の戦闘にロヒンギャが巻き込まれ、さらに両勢力にむりやり徴兵され「人間の盾」にされているとの報告も相次いでいます。
こうした事態により、さらに多くの人々がバングラデシュの難民キャンプに逃れたんです。

ーー難民キャンプってどんなところなんですか?

(鈴木記者)
私は2年前にもバングラデシュの難民キャンプを取材したのですが、まずその人口密度に驚きました。千代田区ほどの面積に100万人以上が暮らしているのですが、あたり一面に隙間なく小屋が立ち並んでいました。その小屋はビニールシートや竹でできているため、難民たちは雨風をしのげず、電気やガスも自由に使えません。洪水や火災が頻繁に発生し、住む場所を失う難民も多くいます。さまざまな国際機関が懸命な支援を行っていますが、キャンプ内の人口増加や治安悪化で支援が追いついていないのが現状です。

ーーバングラデシュと言えば、去年、政変が起きましたよね?

(鈴木記者)
現在は暫定政権のもと、国の立て直しが急ピッチで進んでいます。そうしたなかで、ロヒンギャ問題への対応はバングラデシュにとって重い課題となっています。ウクライナ情勢や中東情勢の悪化により、国際社会の関心も薄れ、「忘れられた人道危機」とも指摘されています。

ーー日本にいる私たちにできることはあるんでしょうか?

(鈴木記者)
実は、日本にも迫害から逃れてきたロヒンギャの人たちがいて、支援する活動が行われています。およそ300人が群馬県・館林市を中心に暮らしていて、日本で生まれ育った「難民2世」の子どもたちも増えています。大学に通う人、地域の企業で活躍する人、日本とロヒンギャの架け橋になっている人も多くいます。さらに、群馬県では、彼らの姿に影響を受けた子どもたちが、支援品を集めて難民キャンプの子どもたちに送る活動を長年続けているなど、地域発の支援が根付いてます。

ーーこのニュースを通じて鈴木さんが一番伝えたいことはなんでしょうか?

(鈴木記者)
「難民問題」というと遠い国の出来事のように聞こえてしまいますが、実際に日本にも迫害から逃れてきた人たちがたくさん暮らしています。
こうした人たちを受け入れて共生するためにどのような仕組みを整えればよいのか、考えなければならない時が来ています。私もこれからも取材して伝えていきたいと思います。【#きっかけ解説】

最終更新日:2025年2月18日 23:21